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「あかん、膀胱破裂しそうや」 高速道路の渋滞中に「立ちション」する男性たち…法的問題はないのか?

2024年05月05日 09:00  弁護士ドットコム

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「もうあかん、膀胱が破裂しそうや」。車で移動中に、おしっこが漏れそうになったという人は少なくあるまい。老若男女問わず、誰にでも起こりうる"地獄のような時間"である。


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特にゴールデンウイークは、高速道路で非常に長い渋滞が発生する。次のパーキングエリアまで数キロメートルあり、おしっこが我慢できない場合、あなたならどうするだろうか。



一昔前には、高速道路の路肩で「立ちション」する男性をよく見かけたものだ。個人的には近ごろ見かけなくなった気がするが、SNSを検索すると、今も目撃情報はちらほらある。



我慢できないからといって、渋滞中の高速道路の路肩などで「立ちション」する行為は法的に問題ないのだろうか。櫻井俊宏弁護士に聞いた。



●弁護士「法的問題があると言わざるを得ません」

――高速道路の路肩で「立ちション」する行為に法的問題はないのでしょうか。



渋滞中の高速道路の路肩に駐停車をして「立ちション」をする行為は、まず、(1)軽犯罪法違反(軽犯罪法1条26号)にあたります。



また、高速道路の路肩に自動車を駐停車させる行為は、「駐車することがやむを得ない場合」といえるような状況でなければ、(2)道路交通法違反(道路交通法75条の8)が成立します。



さらに、立ちションをするために性器を露出する行為が(3)公然わいせつ罪(刑法174条)にあたる場合もありえます。



いずれも犯罪行為であり、法的問題があると言わざるを得ません。



(1)の軽犯罪法違反との関係では拘留または科料が、(2)の道路交通法違反との関係では反則金や違反金(罰金)が、(3)の公然わいせつ罪との関係では6カ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金等が下される可能性があります。



●携帯トイレを車に常備しておくと安心

――あまりにも我慢できない場合は、「緊急避難」は成立しないでしょうか。



あまりにも我慢できない場合、軽犯罪法違反との関係では、「情状に因り」(軽犯罪法2条)、刑が免除される可能性があります。



また、道路交通法違反および公然わいせつ罪との関係では、緊急避難(刑法37条)にあたり、その違法性が阻却される可能性があります。



ただし、立ちションをする行為が「自己・・・の生命・身体・自由・財産」のいずれを守る行為にあたるかは悩ましいですが、我慢して膀胱炎になるおそれからすれば「身体」を守る行為、車が小便まみれになるのを防ぐことからすれば「財産」を守る行為にあたると言えるかもしれません。



実際のところは、立ちションをしたからといって、ただちに先に述べたような法律で処罰される可能性は低いでしょうが、万が一の事態を避けるため、パーキングエリアやサービスエリアにはこまめに立ち寄り、トイレ休憩をすませておくとよいでしょう。また、いざというときのために、携帯トイレを車内に常備しておくとさらに安心でしょう。




【取材協力弁護士】
櫻井 俊宏(さくらい・としひろ)弁護士
交通事故、相続・離婚問題等を得意としている千代田区・青梅市の弁護士法人アズバーズ代表弁護士。応援団出身であり、中央大学の法律顧問(法実務カウンセル)を担当している。「弁護士 ラーメン」と検索すると自身のラーメンブログが一番上に出てくる程のラーメン通。
事務所名:弁護士法人アズバーズ
事務所URL:http://as-birds.com