オフシーズンテストから好調だった2023年王者のau TOM’S GR Supra。開幕戦岡山でも走り始めの公式練習からトップタイムをマークし、予選ではポールポジションを獲得、決勝でも危なげない走りで完勝。振り返れば、2023年シーズンから3連勝を飾ったことになる。絶対王者へ──圧倒的な速さ、強さを示した。しかし、それが許されるほど、スーパーGTはあまくない。
5月2日発売のauto sport臨時増刊『2024 スーパーGT公式ガイドブック』では、開幕戦を完全制圧したau TOM’S GR Supraの裏側で、「Stop the au」の可能性を感じさせたライバルたちの動向にも注目。ここでは、その一部を抜粋してお届けする。
その新予選システム初戦の岡山は、au TOM’S GR Supraの坪井翔/山下健太がポールポジション獲得。DENSO KOBELCO SARD GR Supraの関口雄飛/中山雄一が2番手、STANLEY CIVIC TYPE R-GTの山本尚貴/牧野任祐が3番手タイムにつけた。トップ5に4台が入るなどGRスープラの速さが目立つ結果だが、合算タイムで1番手から9番手までのタイム差が1秒以内に収まるという、かなりの接戦でもあった。
その中でも、2番手に0.226秒差を築いたau GR Supraは、Q1を担当した新加入の山下が5番手タイムだったのに対し、Q2で坪井が圧巻のトップタイム。Q1で1アタックしたユーズドタイヤで、山下のタイムを0.065秒上まわって見せた。しかも坪井は1コーナーでリヤがスライドし、0.1秒程度を失うミスがありながらのタイム。ポールポジションを獲得したにも関わらず、山下が落ち込み気味だったのも無理はない。
Q1でのミスさえなければ、ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8の野尻智紀/松下信治はポールポジション争いに絡んでいた可能性がある。チーム新加入の松下はQ1を担当したが、最終コーナーでの四輪脱輪によりアタックラップのタイムが抹消。セカンドタイムでは予選通過基準タイムとなる107%(1分23秒077)をクリアできず、決勝ではピットレーンスタートとなってしまった。ただし、四輪脱輪直前まではセクター1で最速、セクター2ではヘアピンでリヤをスライドさせながらも、そこまでのトータルタイムはそのときトップタイムを刻んでいたMOTUL AUTECH Zの千代勝正からわずか0.011秒しか遅れていなかった。ポールポジションも狙えるスピードがあったことは、シビック・タイプR-GTの開発者たちに大きな自信を与えた。なぜなら、シビック勢は岡山での公式テストの段階で良いタイムが出ず、苦戦を覚悟していたからだ。