心がざわつくツイートを見つけてしまった。とあるXユーザーがトップバリュの「冷凍担々麺」を「ひどい。貧乏は罪で、それに与えられる罰って感じの味」と評していたのだ。すごい表現だ。ここまで言われると、いったいどんな味なのか気になる。編集部でさっそく探して、食べてみることにした。(キャリコネニュース編集部)
たしかに「ヤバい」
近所で買ってきた(通販もある)。これがトップバリュの「麻辣2種類の辛さ楽しむ 汁なし担々麺」(税別228円)だ。公式サイトには「麻辣の刺激と練りごまの風味がクセになる味わいです」と説明がある。
これのどのあたりが「罰」なのか。食べてみた。
においが強烈だ
食べる前からニンニクの香りがともかく強烈だった。外袋をあけただけで、ニンニクの香りが強く漂ってくる。温めるとさらに強くなった。レンジで6分、扉をあけた瞬間、ニンニクの匂いが噴出し、部屋中に充満した。
よく混ぜて口に運ぶ。
混ぜる
麺は平打で、特筆すべきポイントはない。タレは甘みが強く、塩味も強かった。別添の袋を全部入れたところ、唐辛子の辛みや花椒のしびれを強く感じた。「麻辣の刺激と練りごまの風味」にウソはない。しかし、それ以上に、ニンニクの刺激的な香りが、全てを吹き飛ばすレベルで襲ってくる。いわゆる担々麺というより「おろしニンニクガッツリまぜ麺・麻辣担々麺スタイル」という感じだと思う。
同じ量のニンニクでも火を通すと辛みや刺激はやわらいでいく。しかし、この担々麺のニンニクは、生をすりおろしたレベルの、暴力的な刺激がダイレクトに直撃する感じなのだ。唐辛子・花椒も相まって、かなりの「打撃」を感じる。
食べ続けていると、部屋どころか家中にニンニクのパワフルな香りが充満していく……。そのうちしだいに、自分の感覚が信じられなくなってきた。そもそも「担々麺」ってこんな味だっけ?
そこで翌日、比較のために、同じくスーパーで売っていた日清の「冷凍 日清中華 汁なし担々麺 大盛り」も食べてみることにした。1食分の重さが360グラムと全く同じで、レンジの温め時間も同じ。なお、こちらはオープン価格となっているが、248円(税別)のセール価格で売っている店舗もあった。
こちらが日清のもの
さて、温めおわった時点ですでに「トップバリュとは全く違う商品」ということが理解できた。レンジを開いても、ニンニクの暴力的な香りは襲ってこないのだ。むしろ、ふわっとした小麦(麺)の香りがする。頑張って感じようとすればにんにくの匂いもあるがそこまで目立たない。
トップバリュは四角かったが、こちらは丸い
別添の唐辛子・唐辛子をふりかけ、よく混ぜて食べる。
混ぜる
トップバリュ同様、ゴマだれは甘みが強め、塩味も強めのわかりやすい味だった。唐辛子の辛みや花椒のしびれも同レベルに感じる。しかしながら、こちらはニンニクに殴打される感覚がない。それが不在なだけで、まるで別の食べ物に感じてしまう。
もう一つ大きく違うのは「麺」で、日清の麺は同じく平打ち麺だが、かなりモチモチ感が強い仕上がりだった。これに比べるとトップバリュの麺はボソボソしていて、麺らしい小麦の香りも全く記憶にない。麺の違いなのかニンニクに吹き飛ばされただけなのかは、もはや判別不明だが。
なぜこんなに違うのか?
なぜこんなに違うのか? ちょっと考えてみた。トップバリュの担々麺は、日清の担々麺も研究したうえで商品開発をしているように思えた。分量が全く同じ360グラムだし、甘みの強いごまタレも近いように思う。別添で唐辛子や花椒の袋が付いているところも同じだ。
しかし、結果的にその中身は、まるで違うものになっていた。おそらく、これは狙っているユーザーが違うのではないかと思った。この15年ぐらい各地で担々麺の食べ歩きをした経験からすると、日清のターゲットは素直に「よくある汁なし担々麺」を食べたい層だと思う(ちょっと甘めだけど)。
一方で、トップバリュの本当のターゲットは「おろしニンニク直撃」みたいな商品を食べたい人たちなのではないか。実際、公式サイトの製品レビューは★5(最高評価)で「おいしかった」という声も届いている(なお★1も同数だった)。
もしかしたら、この商品の悲劇(?)は、パッケージでそのコンセプトを伝えきれていなかったところにあるのかもしれない。たとえば「がっつり」「ニンニク」みたいなキャッチフレーズがついていて、ちょっと尖った商品だということが伝わっていれば、こんなにも評価が分かれることはなかったかも。
それにしても「貧乏は罪で、それに与えられる罰って感じの味」とは、よく言ったもんだ……。