友人がピンチのときには助けたい。しかし助けたものの、恩を感じていないかのような態度を取られたら、次第に嫌気が差すだろう。
栃木県の20代後半の女性は、
「Vチューバ―を目指す親友と絶縁しました」
と明かす。
幼稚園からの幼なじみで、「基本的な性格やタイプは全然違うのですが、物事の考え方や価値観がピッタリハマり、相性が良かった」と回想する。就職後は親友は都内、女性は地元と離れ離れになったが、週に1度は連絡し合い、1、2か月に一回は会って遊ぶ関係を続けていた。しかし、親友には気になることがあった。
「自尊心…というか、自己顕示欲が強く、都内での就職を決めてから5年程、声優・俳優を目指すスクールに通っていました。劇団にも所属し、女優として小劇場の板の上に立ったこともあります」
夢を追う親友を表向きは応援していたが……
「お世辞にも演技が上手いとはいえず……」
女性は観劇が趣味で、さまざまな舞台やミュージカルを観てきたようだ。そのため親友の舞台を観て、
「俳優“志望”の人の寄せ集めの、学芸会のような出来の舞台でした。友人も言葉のなまりが抜けきっていない上にお世辞にも演技が上手いとはいえず、役者デビューも声優デビューも厳しいんじゃないかな」
と内心では思っていた。しかし親友の前では本音を隠し、応援し続けた。
「チケットの販売ノルマの助けになればと、土日の予定を返上したり会社の同僚を招待したりしながら足しげく彼女の出演する舞台に通いました」
芝居が下手でも相手は親友だ。応援したいという女性の気持ちは本物だったのだろう。ところが親友は突然、「女優を諦め、VTuberに転向する」と言い始めたのだ。
「助けてほしい」と連絡が来て…
親友は「劇団のつてで知り合ったプロのイラストレーターと仲良くなったので、その方にアバターを描いてもらいデビューを目指す」と話していた。女性は友人の新しい夢を応援することにした。
そんなある日、親友から「助けてほしい」と連絡が来た。「Vチューバー大手事務所のオーディションに応募したいけれど、申込期限が迫っている中でアバターが用意できていない」と泣きついてきたのだ。劇団のつてで知り合ったイラストレーターに依頼したが、納期が短く断られたとも言った。
女性は趣味でデジタルイラストを描いているそう。その腕前は「個人出版の小説本の表紙イラストの依頼を受けることもあった」ほどで、「咄嗟に頼れると思ったのでしょう」と推察した。
「本来であれば依頼として有償で請け負うのですが、急を要する親友からのSOSということもあり、私は無償かつ期限ギリギリまでデザインのリテイクを重ね、親友のアバターイラストを作成しました」
親友を応援するため、精一杯できることをしたようだ。ところが、そのイラストデータを送って以降、親友からの連絡が途絶えてしまう……【後編】へ続く。
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