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約600点におよぶ伊藤潤二の大型展示が開幕、伊藤の私物や大凶が多い?おみくじも

2024年04月27日 11:56  コミックナタリー

コミックナタリー

「伊藤潤二展 誘惑」に登場した伊藤潤二。
伊藤潤二の個展「伊藤潤二展 誘惑 JUNJI ITO EXHIBITION ENCHANTMENT」が、本日4月27日から9月1日まで東京・世田谷文学館で開催される。それに先がけたプレス向け内覧会が、4月26日に同会場で行われた。

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「伊藤潤二展 誘惑」は、伊藤初の大規模個展。マンガ原稿約320点、イラスト約100点、挿絵や下絵など約40点など約600点を展示。デビュー作の「富江」をはじめ、「うずまき」「死びとの恋わずらい」「双一」などのシリーズ作品のほか、「首吊り気球」など短編、同展描き下ろしの新作などがお目見えする。またフィギュア原型師の藤本圭紀による富江の新作フィギュアやおみくじコーナー、参加型のメディアアートコーナー、アイデアが詰め込まれた展覧会オリジナルグッズなども楽しめる。

展示は伊藤による描き下ろしイラストからスタート。まずは伊藤の描く美男美女をテーマにした「第1章 美醜」がお目見えする。「富江」を中心に美しさと醜さが共存する独特な世界観、おぞましさの中にある美しさなどが切り取られた。また「死びとの恋わずらい」のコーナーでは「辻占恋みくじ」も登場する。続く「第2章 日常に潜む恐怖」では「うずまき」「押切異談」「木造の怪」「首吊り気球」「閉ざされた集落」「双一」といった作品をメインに、ありふれた日常の中に静かに存在する、伊藤が描く恐怖を体感できる。

「第3章 怪画」では、物語を象徴する扉絵に着目。カラーイラストからモノクロイラストまで、伊藤が描いた1枚絵の数々が勢揃いした。そして「第4章 伊藤潤二~その素顔~」は、伊藤の素顔が垣間見れる展示ゾーン。「趣味の部屋」と題された和室のエリアでは、伊藤の私物などが展示された。さらに挿絵やイラストなどマンガ以外の仕事や、小学生の頃に初めて描いたマンガ「魔増の村」、デビュー前に手がけた作品なども披露されている。

会場では伊藤の囲み取材も実施。自身の活動を振り返るような展示内容に、「時間をかけて描いた作品なので思い入れはあるのですが、あっという間だったな」と振り返る。また「額装が美しくて、実際よりも見栄えがよくなっていて、ホッとしました(笑)」と満足そうに語った。また特に気に入っているところは会場全体の色彩設計だといい、「作品の雰囲気になった壁の色や模様で、会場が引き締まっているのが気に入ってます」と話した。

展示のアイデアについて問われると、ほぼ朝日新聞社と世田谷文学館からのアイデアによるものだと回答。その中でも「死びとの恋わずらい」に登場するおみくじを再現したコーナーは伊藤のアイデアだと明かし、「おみくじを私も見させていただいたんですが、大凶と凶の数が多い気がします(笑)。ですから、凶とか大凶を引かれても気にしないでいただきたいですね」と笑う。また世田谷文学館のアイデアで、伊藤の部屋をイメージして制作された"趣味の部屋"については「幼い頃の私物が置いてありますので、面白がってもらえたら」と述べる。

同展で描き下ろした3点のイラストについて、伊藤は「メインビジュアルの富江のアップは、デザイナーさんのアイデア。いいアイデアだなと思ってラフに従って描きました(笑)」と、富江がこれから富江になりつつある存在に頬を寄せたその絵について説明。「富江は体をバラバラにされるとそれぞれから富江が生まれてくるという設定。生まれつつある富江をかわいがってるような感じで描いてるんですけど、自分だけが本物の富江だと思ってますので、何か企んでるんだろうなという絵になってますね」と絵に込めた意図を語った。

2点目の富江が建物に囲まれているイラストについては、短編の「道のない街」という作品の世界観と富江を組み合わせたものだと解説。3点目の「うずまき」は「マンガは桐絵が地下に行って巨大な遺跡を発見するところで終わるんですけど、その後どうなったかをテーマに描きました」と述べた。

さらに特にレアな資料について質問されると、「ネームだけ描いてマンガにする機会がなかった作品のネーム。あと、今はマンガを描くよりポーズ人形を作ることに熱中してまして(笑)。それを今後展示する予定です」と笑顔を見せる。また造形作家の藤本圭紀が手がけた富江のフィギュアについても「非常に素晴らしいフィギュアなのでぜひ見ていただきたい」とアピールした。

なお「伊藤潤二展 誘惑」では会期中に4回のイベントを行う。5月25日には中川翔子とのトークイベント、6月16日には伊藤のライブドローイング、6月30日、7月14日には伊藤のサイン会を実施。チケットの発売日などの詳細は公式サイトで確認を。

■ 「伊藤潤二展 誘惑 JUNJI ITO EXHIBITION ENCHANTMENT」
会期:2024年4月27日(土)~9月1日(日)
会場:東京都 世田谷文学館 2階展示室
時間:10:00~18:00(展覧会入場、ミュージアムショップは17:30まで)
休館日:毎週月曜日(4月29日、5月6日、7月15日、8月12日は開館し、翌平日休館)
料金:一般1000円、65歳以上・大学・高校生600円、小・中学生300円/障害者手帳の所持者は500円(ただし大学生以下は無料)