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鍛えた筋肉やふくよかなお腹をボディータッチしてくる女性たち…男性からは「これってセクハラでは?」の声

2024年04月26日 10:10  弁護士ドットコム

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職場で女性の身体に触ることは「セクハラ」として知られるようになってきています。男女雇用均等法11条では、職場におけるセクハラについて、事業主に防止措置を講じるよう義務付けており、「身体に不必要に接触すること」はセクハラと定義されています。


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しかし、ネット掲示板では男性のこんな声がありました。



「スポーツが好きで筋肉を鍛えたのに、職場の女性社員が触ってきます。これはセクハラ行為ですよね?」



男性は何度も女性社員に対し、「触られるのが嫌なので、本気でやめてください」と言っているそうですが、効果がないそうです。上司に相談しても、真剣に聞いてくれないといいます。



また、最近ではXで、女性を名乗るアカウントが「飲み会とかで、隣にいる初対面のおデブ男性のお腹を『何このお腹ー! 何入ってんの?!』ってポンポン叩くタイプの女です」と投稿し、「セクハラでは」と指摘されました。



女性側に「性的な行動」としての意図がなかった場合でも、「セクハラ」になるのでしょうか。また、男性からの被害の声を放置した場合、事業主にはどのような法的責任が問われるのでしょうか。寺林智栄弁護士に聞きました。



●性的な意図がなくてもセクハラになる可能性

——女性が男性の筋肉やお腹などを触る行為は、性的な意図がなかったとしても、セクハラにあたりますか。



セクハラとは、人事院の定義によれば他の者を不快にさせる職場における性的な言動を指します。



セクハラというと、男性から女性に対するもののイメージがありますが、それに限らず、同性間や女性から男性への言動もセクハラに該当する可能性があります。



また、セクハラに該当するかどうかは、受け手が不快に感じるかどうかが基準です。した側に性的な意図がなくても、身体に不必要に接触することはセクハラに該当しうるものです。



女性が男性の筋肉やお腹を触る行為は、男性の側が不快に感じるのであればセクハラに該当することになります。



●「セクハラ被害に男女の別はない」

——セクハラの加害者は、法的責任に問われる可能性はありますか。



セクハラ行為は、受け手の性的自由を侵害するもので、する側には、その点について少なくとも過失があるので(わかっていてする場合には故意があるといえるでしょう)、不法行為(民法709条)が成立し、損害賠償責任を負うこととなります。



——また、もしも、職場でのセクハラ被害を放置した場合、事業主はどのような法的責任が問われる可能性がありますか。



事業主はセクハラ被害の訴えがあった場合に、以後セクハラ被害が生じないよう防止すべき義務がありますので、セクハラ被害の訴えを放置して、この義務を怠った場合には、債務不履行責任(民法415条)を負い、損害賠償責任を問われることとなります。



また、同時に使用者責任(民法715条)を負うこととなり、やはり損害賠償責任を問われることとなるでしょう。



女性からの性的言動で不快な思いをしている男性も少なくありません。セクハラ被害に男女の別はないことの理解が広まることが望まれます。




【取材協力弁護士】
寺林 智栄(てらばやし・ともえ)弁護士
2007年弁護士登録。札幌弁護士会所属。法テラス愛知法律事務所、法テラス東京法律事務所、琥珀法律事務所(東京都渋谷区恵比寿)、ともえ法律事務所(東京都中央区日本橋箱崎町)、弁護士法人北千住パブリック法律事務所(東京都足立区千住)を経て、2022年11月より、NTS総合弁護士法人札幌事務所。離婚事件、相続事件などを得意としています。
事務所名:NTS総合弁護士法人札幌事務所
事務所URL:http://nts-law.jp