4月25日、ABB FIAフォーミュラE世界選手権は今週末に開催を控える第8戦モナコE-Prixを前に、来季シーズン11より導入される新型マシン『GEN3 EVO』を公開した。
フォーミュラEとFIA国際自動車連盟の専門家によって開発された『GEN3 EVO』は、現行マシンの『GEN3』をもとに、パフォーマンスや持続可能性、エネルギー効率においてさらに高い基準で改良を施したマシンだ。
新たなフォーミュラEマシンは、FIAが実施するレースカテゴリーで使用されているシングルシーターマシンにおいて最高の加速力を獲得し、時速0~100キロの加速にかかる時間は1.86秒となり、現行F1マシンよりも30%高速だという。理論最高速については、時速200マイル(約321キロ)となった。
さらに駆動方式は四輪駆動に変更。これまで前輪に搭載されていたモーターはエネルギー回生にのみ使用されてきたが、GEN3 EVOからは駆動の役割も担う。なお、四輪駆動の使用はデュエル予選、スタート、アタックモード時に限られる。
またモーター自体にも改良が施されており、内燃エンジンの一般的なエネルギー効率である40%を大幅に上回る、90%以上を発揮するという。さらにソフトウェアのアップグレードにより、レースパフォーマンスを向上。さらに回生面では、これまでレース中に必要なエネルギーの約40%を生成していたが、GEN3 EVOでは約50%の生成へと改良された。
ハンコック社が供給するタイヤについては、グリップ力が5~10%向上。生成成分の35%はリサイクルされた持続可能な素材から製造され、GEN3仕様と比較して9%増となった。
また超高速充電にも対応しており、レース中に追加のエネルギーを得るため、30秒間で600kwの高速充電ができるように設計されている。
さらに一新されたシャシーには、リサイクルされたカーボンファイバーやリネンなどの天然素材を使用。組み合わされるボディキットは、より堅牢かつ空力的なものに生まれ変わり、ホイール・トゥ・ホイールのより接近戦を実現する。
フォーミュラEのジェフ・ドッズCEOは今回新たに公開したGEN3 EVOについて、「画期的な章を告げる」とコメントしている。
「これはフォーミュラEの進化において、持続的に達成される革新性と高いパフォーマンスへの私たちの献身を体現しているマシンだ」
「前例のない加速と高度な空力設計を特徴とし、レースのスリルをさらに高め、真に優れた能力とパフォーマンスで世界中のドライバーとファンを魅了するだろう」
FIAのモハメド・ビン・スライエム会長は、GEN3 EVOの発表に際して「電動レースにおける大きな進歩を意味する」と述べた。
「FIAとフォーミュラEは、この新しいGEN3 Evoレースカーの開発プロセスに熱心に取り組んできた」
「競争力のあるレースを提供しながら、持続可能なモータースポーツの限界を押し上げるという共通の取り組みを強調する勤勉な努力に、FIAとフォーミュラEの両チームに感謝したい」