面接で応募者に何を言ってもいいと勘違いしている面接官が未だにいるようだ。新潟県の20代女性(事務・管理/契約社員)は、オンライン面接でひどいことを言われた。
「まず最初に自己紹介と経歴について聞かれたので自己紹介をすると、社長から『なんでそんな変な名字なの?』と。わたしは外国人と結婚し、夫の名字に変更していたので、外国姓を名乗っていましたが、その名字を『変な』と言われたことに驚きと失礼さを感じました」
国際結婚がさほど珍しくない現代において、ずいぶん時代錯誤な感覚の持ち主のようだ。社長の失礼発言は、これだけにとどまらなかった。女性に取材し、詳しく聞いた。
仕事内容について聞くと「その頭のプリンちゃん直してからじゃない?」
面接を受けたのは2020年夏のころ。最終の役員面接でのことだった。
「当日、時間にZoom を立ち上げましたが、こちらがカメラをオンにしているにも かかわらず、社長と名乗る方と、もう一名の役員の方はカメラがオフの状態で顔が見えませんでした。最初はカメラをオンにし忘れてるのかと思ったのですが、結局最後までカメラがオンになることはなかったので非常に失礼だと思いました」
顔を見せずにオンライン面接をする会社はかなり稀だ。相手がカメラオンにしているのだから企業側もオンにするのが礼儀だろう。さらにその社長は名字だけでなく、女性の容姿を貶すような発言もしてきた。
「最後に仕事内容について質問をしたら、『まずさぁ、その頭のプリンちゃん直してからじゃない?』と言われました。確かに当時、私の髪はダメージを受けて毛先の方が明るく、グラデーションカラーのようになっていて、それを直さずに面接を受けた私が悪いのも分かっていますが……。それに、自分たちがカメラをつけていないことを棚に上げて人のことに文句を言える筋合いはあるのだろうかと思いました。言い方も乱暴だなと感じました」
このように女性は不満を漏らすも、面接の場では「入社までに暗く染めることはできます」と答えるにとどめた。というのも、
「初めてのことでどうしたらいいか、わからなかったのと、半分この会社はないな、という諦めがありました」
「あの時わたしが鋼のメンタルを持っていたら……」
肝心の仕事内容についても、納得のいかない説明をされたと憤る。
「改めて業務内容を説明してもらいましたが、転職サイトに掲載されている内容と全然違うこともやらされることがわかりました。求人サイトではライター職での募集になっていたのですが、面接ではライターとしての仕事はゼロで営業ばっかりになる月もあると言われました。ならばなぜライター職で募集を出したのか、意味がわからないです。求人には業務内容に営業もやるとは一言も書いてありませんでした」
小規模メディアではライターや記者が営業を兼ねることもあるようだが、いずれの場合も求人情報に仕事内容が正確に書かれていなければ、応募者が戸惑うのは当然だ。
ただ、これについて1次面接のときから違和感があったという。
「1次面接で説明された業務内容が転職サイトの記載と少し食い違いがあり、疑問に思いました。でもその時は転職活動に必死だったので、そんなこともあるか程度に思ってしまい……」
と後悔を口にした。
結局、最終面接は30分程度で終了し、その後、不採用の結果を受け取った。そのときの心境について、
「こんな失礼な面接もするような会社で働きたくないと思っていたので特になんとも思いませんでしたが、強いていえばこちらから辞退してやりたかったな、と。とにかく、人の名前を変と言ってしまう神経、本当に人としてあり得ない社長だと思いました。話し方もすごく砕けているというか、言葉遣いが乱暴で、上から目線な物言いでした」
と述べた女性。むしろ不採用で良かったと安堵しているかのようだ。
女性はその後、派遣社員として翻訳などの仕事に携わり、今年の4月からは製造業で営業兼貿易事務の正社員として働いている。インタビューの最後に、思い出したかのように、こう語っていた。
「私の名前を変な名前と言った社長の名前も変わった名字でした。あの時わたしが鋼のメンタルを持っていたらきっと『お互い様じゃないですか?』くらい言ってもよかったなと思っています」
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