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「大谷翔平が完全にシロかは怪しい」元通訳訴追もSNSでくすぶる“黒幕説” 投稿の法的リスクは?

2024年04月20日 09:30  弁護士ドットコム

弁護士ドットコム

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米大リーグ・ドジャースの大谷翔平選手の通訳だった水原一平氏が銀行詐欺容疑で訴追され、日本時間4月13日にロサンゼルスの連邦地裁に出廷した。


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報道によると、水原氏は違法賭博の借金返済のため、大谷選手の銀行口座から約24億6000万円を不正に送金。一方で、大谷選手に対し「借金を肩代わりしたことにしてほしい」と懇願し、これに対し大谷選手が拒否していた経緯なども明らかにされるなど話題となった。



問題発覚当初は「大谷は知っているはず」「水原氏がかばっている」など大谷選手への根強い“疑惑”が向けられていた。しかし、刑事訴追や水原氏と胴元とのやり取りの報道等から水原氏の単独犯行の疑いが強まり、SNSでは「一瞬でも疑ってごめんなさい」「一平に(罪を)全部かぶせたって思ってました」などと“謝罪祭り”となっている。



2ちゃんねるの創設者で実業家のひろゆきさんも、3月に「​​大谷氏は水原氏の違法賭博の借金を男気で肩代わりし大谷氏自ら送金」などの推測をSNSに投稿していたが、「憶測外れてましたー。すいませーん。」と謝罪した。



一方で、今なお「大谷黒幕説」はくすぶっている。訴追後もSNS上では「大谷が完全に白っていうのも怪しい」「それでも気づかないってありうる?大谷は怪しい」といった投稿がある。



日米で大きな話題となった今回の問題。司法手続き上の“白黒”は現時点まだついていない段階で、特定の人をさも犯人かのように投稿することは法的に問題ないのだろうか。高橋直弁護士に聞いた。



●名誉毀損の成否「一般読者が投稿をどのように読むか」

──「●●が犯人だ」のように、特定の人物をあたかも犯人であるかのように決めつけるネット上の投稿には、どのような法的問題がありますか。



「●●が犯人だ」という投稿については、民事においても刑事においても基本的には名誉毀損の成否が問題になりますので、民事・刑事での差はそれほどないものと考えられます。



今回の大谷選手の件につきましては、その著名性や事実経過等一般の方における同種の問題とは性質を異にしますので、以降あくまでも一般論として説明します。



「●●が犯人だ」という投稿で、「●●」に氏名を記載している場合、まさに「●●」が犯罪を行ったという事実を適示するものと評価し得ますので、名誉毀損に該当する可能性があります。



一方、単に、可能性や疑惑を投稿する場合には、基本的には名誉毀損に該当しない可能性が高いです。



一般的には、名誉毀損の成否におけるその投稿が事実を適示しているのか、疑惑や可能性を適示するにとどまるのか、という評価の点が問題になりますが、判断基準としては、「一般読者がその投稿をどのように読むか」ということになります。



単に投稿上に「疑惑」や「可能性がある」等と形式的に記載されているかということのみによって判断されるわけではなく、あくまでも投稿全体を閲読した結果、一般読者として疑惑や可能性はあるが真実はわからないといった印象を抱くか、それともまさに事実として適示しているという印象を抱くかどうかということになります。



実際の裁判例でも、「可能性がある」等という文言を用いていても、事実として適示しており名誉毀損が成立すると判断されたものもあります。



このように、事実を適示しているのか、あるいは疑惑や可能性を適示するにとどまるのかという判断は難しい側面もありますので、安易な投稿はしない、迷ったら一度立ち止まるということも大事なのかもしれません。



──投稿をされた側が対抗措置をとろうとしたら、どのような手段が考えられますか。



自身でそのようなことはしない旨の投稿やリリースを出す、プラットフォーマーに削除請求を行う、発信者情報開示請求により投稿者を特定し損害賠償請求等を行うといった対応が考えられます。




【取材協力弁護士】
高橋 直(たかはし・なおき)弁護士
千葉県弁護士会所属。早稲田大学法学部卒業、早稲田大学大学院法務研究科修了。顧問弁護士として、スタートアップ・ベンチャー企業、ユニコーン企業、上場企業の顧問を中心に主に企業法務分野を担当している。また、インターネット上の権利侵害問題にも意欲的に取り組んでおり、インフルエンサーやYouTuber、VTuber(バーチャルYouTuber)、ライバーの権利保護・救済に尽力している。
事務所名:弁護士法人Authense法律事務所
事務所URL:https://www.authense.jp/