Text by CINRA編集部
『1980~1990年代、台湾ビデオ・アートの黎明期』が4月24日から六本木・森美術館で開催される。
同展は1980年から1990年代に、当時最新技術だったビデオを使って美術作品を制作した台湾のパイオニアたちの活動に注目するもの。2015年に台北・関渡美術館で開催された大規模展覧会『啓視録:台湾のビデオ・アート1983-1999』のエッセンスを凝縮し、「MAMスクリーン019:1980~1990年代、台湾ビデオ・アートの黎明期(上映編)」と「MAMリサーチ010:1980~1990年代、台湾ビデオ・アートの黎明期(展覧会編)」の2部に分けて紹介する。
「MAMリサーチ010」では、この時代の実験的な試みや新しい表現の追求、映像などメディアについての思想を作品や記録映像、テキスト、書籍、資料、年表によって紐解くほか、台湾の作家と日本との関係についても着目。
紹介作家
チェン・ジェンツァイ(陳正才)、チェン・ジエレン(陳界仁)、ホン・スージェン(洪素珍)、ガオ・チョンリー(高重黎)、カク・イフン(グオ・イーフェン/郭挹芬)、リー・グァンウェイ(李光暐)、リン・ジュンジー(林俊吉)、ロ・メトク(ルー・ミンドー/盧明徳)、ワン・ジュンジェ(王俊傑)、ユェン・グァンミン(袁廣鳴)
「MAMスクリーン019」では、5作品を年代順に上映。社会的なメッセージを持つもの、実験映像の手法を取り入れたもの、マスメディアへの言及やパフォーマンスの記録など、台湾のビデオ・アートの多様性に注目する。
上映作品
ホン・スージェン(洪素珍)『東/WEST』
ユェン・グァンミン(袁廣鳴)『帰り道で』
ワン・ジュンジェ(王俊傑)『キラー・ガール、オデッセイIII』
チェン・ジェンツァイ(陳正才)『鐘の音』
リン・ジュンジー(林俊吉)『グラスII』
4月24日18:30からは、関連プログラムを森美術館オーディトリアムで開催。『啓視録:台湾のビデオ・アート1983-1999』の企画者であるスン・ソンロンが、『啓視録』展の企画内容、展覧会開催に向けたリサーチ、現存しない作品の再制作など、展覧会開催に至るまでのエピソードを語るほか、「MAMリサーチ010」「MAMスクリーン019」での展示内容や出展作家の日本との関わりについて対談形式で紹介する。
ガオ・チョンリー(高重黎)『1983年高重黎写真展』雜誌広告 1983年
カク・イフン(グオ・イーフェン/郭挹芬)、ロ・メトク(ルー・ミンドー/盧明德)『サイレント・ボディー』1987年、パフォーマンス、5チャンネル・ビデオ(白黒、サイレント)、ブラウン管モニター、枝、白い布、サイズ可変 展示風景:「実験芸術:アクション・スペース」台北市立美術館、1987年
リー・グァンウェイ(李光暐)『共生』1993年、CRTモニター、スピーカー・ドライバー、キャビネット、ラック
リン・ジュンジー(林俊吉)『グラスII』 1997年、ビデオ、カラー、サウンド 9分14秒 写真撮影:サンドラ・リースマン
ユェン・グァンミン(袁廣鳴)『帰り道で』 1989年 ビデオ、カラー、サウンド 13分29秒