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「スターは生まれなくなる」タレント移籍・独立の自由と引き換えに消えていく芸能界の魅力

2024年04月16日 17:00  週刊女性PRIME

週刊女性PRIME

左から多部未華子、佐々木蔵之介、佐藤隆太

 昨今の芸能界を語る上で、ホットな話題が“タレントの独立”だ。多部未華子(35)や佐々木蔵之介(56)、佐藤隆太(44)が長年所属していた事務所を3月いっぱいで退所したことを発表した。これまで芸能界でタレントの“独立”といえば、騒動の種だったのだが─。

「ひと昔前とは違って、今は殺伐としていませんよね」

 こう語るのは芸能評論家の宝泉薫氏。事務所側の諦めがよくなった理由について、複合的でそれぞれの事情があるだろうとしながらも、

「節目になったのは、'16年に能年玲奈さんが“のん”に改名して独立したことと、同年のSMAP解散騒動だと思います。タレントが事務所を離れると業界から干されることに対して、世間から批判が集まりました。

 結果として事務所側も、締めつけた結果がプラスには働いてないですよね。企業として“ブラック”と認定されてしまい、イメージダウンにつながりましたから

破天荒なスターは「駆逐されていく」

 また、これまでは特殊な世界だと思われていた芸能界に、一般社会の常識を当てはめて考える人が増えてきたことも変化の要因のひとつ、と宝泉氏は続ける。

「かつて、旧ジャニーズはファミリーという言い方をしていましたよね。北島三郎さんの事務所も“北島一家”と。血はつながっていないけれど、芸事を通じて“家族”としての絆がある、という考え方でした。だから子が親を裏切って移籍や独立をするなんて、とんでもないこと、ペナルティーは当然と考えていたんです。

 でも今は、ファミリーではなく完全なビジネスの関係。事務所の代表も代替わりなどして、カリスマ性もなくなり、タレントに対するこだわりも薄れます。ビジネスとして“初期投資は回収したから、ウチから離れてもいいか”となる部分も大きいと思いますね」

 ただ、この反動でタレントも平均化して面白みがなくなるのでは、と宝泉氏。

「'80年代、アイドルブームのころには少女隊やセイントフォーのように何十億円かけて売り出す、という大きなプロジェクトがありました。でも、いつまで所属するかわからない状況で、そんなプロジェクトはできない。結局、そこそこのプロデュースで売り出される、普通のスターしか出てこなくなるのかも

 変わりゆく芸能界、これから先どんな世界になるのか?

「事務所との付き合いではなくタレント個人と制作サイドの付き合いが重視されるようになり、人間的な魅力がない人は使われなくなるでしょう。一見、いいことのように思えますが、ものすごく性格は悪いけど華がある人や、役者としては最高だけど、人間としては付き合えない、なんてタレントもいますよね(笑)。そういった人はことごとく駆逐されていくと思います。

 変に協調性のある人やマイルドな人が生き残り、とんがっている人がいなくなる。コンプラなどでうるさくなった現在、とがった人がいたら困るかもしれないけれど、そんな芸能界、面白いのかなと思います。働き方改革もやりすぎれば会社は回らなくなりますよね。これから先の時代に、勝新太郎さんのような破天荒だけど魅力のあるスターは生まれてこないのでは」