面接の前から「残業はしたくない」と意思表示しているのに「終電で帰ることもある」と言われたら、絶望的な気分になりそうだ。
関東圏に住む40代の女性は、それまで大手ゲームメーカー2社などに勤務。30代前半のころ、転職活動時にエージェントに勧められて「企業のウェブサイトを制作する会社」に応募した。その際、選考前のアンケートで「残業」について質問があり、選択肢は
「OK。会社に泊まっても良い」
「常識の範囲内なら」
「自分の仕事が終わったら帰る。残業はしたくない」
と並んでいた。つまり「会社に泊まることもあるほど残業する」と言っているようなものだ。女性は正直に「したくない」と回答したが、なぜか面接に呼ばれたという。一体どんな面接だったのか。編集部では女性に話を聞いた。
「終電で帰ることもザラ。それでもいいか?」と聞かれ…
「事前アンケートで『したくない』と残業を拒否したので、もう不採用だなと思っていました。ところが、面接に呼ばれたので驚きました」
誰だって無茶な残業はしたくないものだが、面接で直接聞かれればNOと言えない人もいる。会社側はそんな考えだったのかもしれない。面接官は3人で、みな40~50代と思われた。
「ウェブサイトの制作会社なので『参考作品を持って来ましたか?』とたずねられました。でも私は面接のみで作品の提出は必要ないと思っていたため、持参しませんでした」
嚙み合わないやり取りの後、案の定、残業について質問が飛んできたという。
「『うちは広告代理店と密に連携しているので、終電で帰ることもザラ。それでもいいか?』と聞かれました。でも私は、2社目のゲームメーカーに勤務していたとき過労から体調を崩したこともあり、『やるべき仕事が全て終われば、定時に帰るもの』と考えています。このとき、やっぱり『そんなに無茶な残業はしたくありません』と答えました」
この正直な回答に、相手の対応は冷たかった。
「『じゃあ、これ以上話すのはお互い時間の無駄なだけだから』と履歴書を返され、小雨の降る銀座にほっぽり出されました。結局、なんだったんだろう? 銀座までの交通費を返せよ!と思いました……」
面接は即終了し、失意のうちに帰宅することに。そもそも事前に「残業したくない」としている女性を、わざわざ面接に呼んだこと自体が時間の無駄だろう。
この後、さまざまなキャリアを経て現在はフリーランスとして活動しているという女性は
「“残業=美徳”という考え方は古い、担当している仕事が終われば定時に帰ることが当たり前という風潮になってくれればと思っています」
と切実な思いを語ってくれた。
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