初めて挑むギャンブルで、ビギナーズラックが発生することがある。これまで一切博打をしなかった人が何故か万馬券が的中したり、東一局目でいきなり役満を和了したりってことは、本当にある。再現性がないのでそれ以降はてんでダメなんだけどね。
中でもビギナーズラックを発揮する人がやけに多いのが、パチンコだ。パチンコってなかなか当たらないし、当たっても伸びるかどうかが運次第なので難しい遊技なんだけど、どうしたことか初めて挑戦した人が爆連するという例を、僕は多く知っている。
ビギナーズラックでいきなり大勝してしまったことで、そのままどっぷりパチンコに依存してしまう人も世間にはいる。そしてそのほとんどは、最初の勝ちを体験した時点では「もう二度と打たないよ」と笑いながら言うのであるが……。(文:松本ミゾレ)
現代の錬金術師「もう行かんと思うけどな!」
先日、みんな大好き5ちゃんねるに「【朗報】ワイ、初パチンコで500円が4万円にwww」というスレッドが立っていた。スレ主は初めてのパチンコで500円。つまり、玉貸しボタンを1回押しただけの僅かな銀玉を使っていきなり大当たりし、連チャンをモノにしたのである。
4万円の勝ちということは、1玉4円換算となれば1万発ほど獲得したということになる。景気の良い話だ。
本文において彼は「ビギナーズラック最高や! もう行かんと思うけどな!」と書き込んでいる。しかし僕は知っている。ビギナーズラックを体験してしまった人間の「もう行かん」ほど、信用できない言葉はないと。
スレッドに見られる反応を、ちょろっと引用させていただきたい。
「行かんのは正解。調子に乗ったらケツの毛まで抜かれるぞ」
「オスイチ万発噴きって神引きやな。持って生まれた才能があるんやわ」
「勝ったらハマるって言うけど大丈夫やで。ワイも初めて打った時に勝ってからかれこれ10年で200万は負けてるだけやもん」
とこんな具合に、もう二度と行かないという主張を肯定している人もいれば、まだまだ打たせようとしている悪魔のような奴もいる。
年間20万円ペースで負けている人の声もあるが、10年で200万の負けで済んでいるというのは極めて軽傷。これでもマシなほうだからパチンコって怖いね。
ビギナーズラックは依存症への特急券。地獄への片道切符
こちらのコラムで再三主張してきたように、僕はパチスロ依存である。2004年頃からパチンコホールに通う立場となったが、最初はパチンコから入ったクチだ。あの当時のパチスロはビタ押しとかJACハズシとかできないと勝てない台だらけなので、初心者には敷居が高かった。
で、残念ながら僕も初パチンコでビギナーズラックを発揮してしまった。当時新卒で入社したホール企業の開店前のパチンコ台の動作確認でしばらく打っていると、確変大当たりを引いてしまい、これが当時50%でループする仕組みだったのに7連も8連もした。
1/2をそこまで連続突破する確率は相当低い。とうとう当たりが止まらなくなって、最終的には台の電源を落とした。
これがまずかった。「あ、パチンコって簡単やん」と思い、祖母からもらった入社祝いの5千円を手に近隣のホールでパチンコをやったのだが、あっという間にスッてしまう。そしてムキになり、これ以降は給料が入るとパチンコにのめり込むようになった。
思えばあの時、ビギナーズラックを発揮せずにただただ漫然と通常時を消化するだけだったなら、きっと僕はパチンコホールそのものをもう少し冷静に俯瞰できていたはずだ。そうなれば今頃は、もっと堅実な生活を歩めていただろうに……。
今はもうパチンコなんて年に1回打つか打たないかって感じだけど、その代わりパチスロをやるからなぁ。もったいないことしたなぁ。人生の貴重な時間を、あんなものに使っているんだもんなぁ。