Text by CINRA編集部
ミスティスラフ・チェルノフ監督のドキュメンタリー映画『マリウポリの20日間』が4月26日にTOHOシネマズ 日比谷ほか全国で公開。予告編、日本版ポスタービジュアル、場面写真が到着した。
チェルノフ監督はAP通信のウクライナ人記者。2022年2月から始まったロシアによるウクライナ・マリウポリ侵攻の際に、取材チームとともに市内に残る唯一のジャーナリストとして、死にゆく子どもたちや山積する民間人の遺体、産科病棟への爆撃などを記録し続けた。同作はチェルノフにとって初の長編映画で、チェルノフが現地から配信したニュース、取材チームが撮影した戦時下のマリウポリ市内の映像をもとに制作。『第96回アカデミー賞』では長編ドキュメンタリー賞を受賞し、ウクライナ映画史上初の『アカデミー賞』受賞作となった。
予告編に映し出されるのは混沌の渦となってしまったマリウポリの様子。ロシア軍の印「Z」が刻まれた戦車が走る光景、市民が爆撃投下を知らせるサイレンに怯えながら地下に避難する場面、「この惨劇を世界へ伝えてくれ」と取材班に伝える医師の姿、「この光景を必死に忘れようとしても、決して忘れることはできない」という監督自身の語りなどが確認できる。
本ポスターは、戦地となり荒れ果てたマリウポリの街を記録する取材班の姿を切り取ったもの。場面写真は、ロシア戦車によってアパートが爆撃される様子、空爆によって被害を受けた産科病院から怪我をした妊婦が運び出されるカット、取材チームの1人でもある写真家のエフゲニー・マロレトカが空爆の後にマリウポリ市内の産科病院から立ち上る煙を指さす姿、マリウポリ市内で避難生活を送る人々を捉えている。
©2023 The Associated Press and WGBH Educational Foundation
【ミスティスラフ・チェルノフ監督のコメント】
この作品はウクライナ映画史上初めてアカデミー賞を受賞しました。
しかし、おそらく私はこの壇上で、この映画が作られなければ良かった、などと言う最初の監督になるだろう。このオスカー像を、ロシアがウクライナを攻撃しない、私たちの街を占領しない姿と交換できれば、と願っています。
ロシアは私の同胞であるウクライナ人を何万人も殺している。私は、彼らがすべての人質たち、国を守るために戦うすべての兵士たち、刑務所にいるすべての民間人たちを解放することを願っています。
しかし、歴史を変えることはできません。過去を変えることもできません。私はあなた方に、世界で最も才能のあるあなた方に呼びかけます。私たちは、歴史を正しく記録し、真実を明らかにし、マリウポリの人々や、命を捧げた人々が決して忘れ去られないようにすることができます。
なぜなら、映画は記憶を形成し、記憶は歴史を形成するからです。
©2023 The Associated Press and WGBH Educational Foundation
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