Text by CINRA編集部
映画『アディクトを待ちながら』が6月29日より新宿K’s cinemaで1週間限定公開。メインビジュアルと特報が到着した。
同作は、ともにギャンブル依存症者の家族であるナカムラサヤカ監督とギャンブル依存症問題を考える会代表の田中紀子プロデューサーがタッグを組んだ初の長編映画。数々のヒット曲を持つ大物ミュージシャン・大和涼が覚醒剤と大麻の所持で逮捕されてから2年、依存症患者で結成されたゴスペルグループ「リカバリー」はコンサートを開こうとしていたが、そのメンバーに名を連ねる大和は開始時間を過ぎても現れないというあらすじだ。
出演は主演の高知東生、橋爪遼、杉田あきひろ、塚本堅一といった薬物事件で逮捕された過去をもつ俳優たち、実際の依存症者、その家族たち。さらに升毅、宍戸開、青木さやからが共演する。ラストではリアリティーを追求するため即興芝居を行なったという。
公開にあわせて、日本初の依存症専門オンラインメディア「Addiction Report」とともに2つのプロジェクトを実施。1つ目は薬物乱用防止「ダメ。ゼッタイ。」ポスターへの抗議を示した新たなポスターの一般公募。2つ目は依存症に関する体験談の公募。依存症者だけでなく、家族や友人、知人など関係者たちからも声を集め、漫画家が作品化する。
【ナカムラサヤカ監督のコメント】
「依存症は“脳の病気”である。だが“回復できる”病気でもある」。日本ではこの事を知る人は少なく、私もその一人でした。依存症の当事者やそのご家族への4年間の取材を通して、私が目にし耳にしてきた依存症のリアルがこの映画には詰まっています。誰がなってもおかしくない依存症という病気からどうしたら回復できるのか?「自分はギャンブル依存症だ」というニュースが日本中に衝撃を与える今こそ、ぜひその現実を観に来てください。
【田中紀子プロデューサー(ギャンブル依存症問題を考える会)のコメント】
依存症問題の支援者として、薬物問題が起きる度に「上映中止」となる現実を腹立たしく見ていました。
アルコール、薬物、ギャンブル依存症には、病気という側面があります。逮捕され犯罪者となっても、人生は続き、回復に向き合い社会復帰をしなくてはなりません。そこにはドラマがあります。彼らを「ないもの」として蓋をする風潮に、我々依存症者とその家族は断固として立ち向かいます。これはエンタメを道徳の様に扱おうとする、頭の固い一部勢力に対する宣戦布告です。