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「超!弱虫ペダル展」はロードレースそのもの、渡辺航がファンからの愛に感謝

2024年03月29日 12:55  コミックナタリー

コミックナタリー

「超!弱虫ペダル展」のビジュアルの前に立つ渡辺航。
渡辺航「弱虫ペダル」の展覧会「超!弱虫ペダル展」が、本日3月29日に東京・池袋サンシャインシティで開幕した。コミックナタリーは去る28日に行われたメディア向け内覧会にて、渡辺への質疑応答コーナーやクラウドファンディング支援者向けのトークショーを取材。本記事ではその様子をお届けする。

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2019年に宮城・石ノ森萬画館にて開催された「弱虫ペダル展」以来、過去最大規模で展開される今回の展覧会。メディア向けの質疑応答コーナーにて、会場を見回った感想を聞かれた渡辺はまず最初に懐かしい気持ちがあったと言い、「基本的に原稿は編集さんに手渡したら実物を見ることはなくて。なので、最初の頃の原稿は16年ぶりに見たのですが、あの頃の熱量を感じましたね」と述懐する。コーナーを周るたびに次々に展示物が現れることから「ロードレースそのものだなと思いました」とも述べていた。

今回の展覧会では総北高校の部室や箱学のロッカールームでのロッカーの中身についてアイデア出しをしたと言う渡辺。またクラウドファンディングで制作された展示物について「“巨大御堂筋くん”は実物を見て、こんなすごいのができたんだと感動しました。泉田の大胸筋はこんなに面白いのかと(笑)。小鞠の気持ちになって触れることができました」と話し、クラウドファンディングの支援者に対して感謝の意を述べた。

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また好きなキャラを聞かれると、坂道と手嶋を挙げる。坂道については今泉との勝負の際に“ヒメ”と言ったシーンを挙げながら「自分の想像していないところまで行ってくれた。この人は自分の知らない世界に突き進んでいくんだなと」と感じたことを明かす。また手嶋を“努力の人”と表現し、「振り返れば実力不足、努力不足だという思いはあるけれど、自分はマンガ家としてなかなかヒット作に恵まれてこなかったんです。そこでようやく『弱虫ペダル』という作品と出会ったので、努力でがんばる男・手嶋により気持ちを乗せやすかったんですよね。彼はすごい好きなキャラクターです」と語った。

物語は筋道を立てておくタイプか否かを問われた渡辺は「道筋は絶対に立てるし、細かいところまで決めている」と回答。しかし実際に描いていく中でキャラクターが自分の想定外の方向に進んだとしても止めることはないと述べ、坂道2年目のインターハイでの山岳勝負を例に挙げる。「葦木場くんが手嶋さんのバイブレーションに引っ張られて飛び出しちゃうシーンがあって。あれはもともとシナリオにはなかったんです。手嶋はこのシーンでレースを終える想定だったし、そう決めていたんですけど、葦木場が飛び出しちゃったので、手嶋もこれを見たら飛び出さざるを得ないよね、と。想定通りにならないパターンもありますが、キャラがそうやって動いたら考え方を変えてまた別の道筋を作り直して、またそれも壊しながら進んでいくという感じですね」と解説した。

内覧会では渡辺がクラウドファンディング支援者に場内の説明をしながら周るというイベントも行われた。間近でファンの反応を見た渡辺は「皆さん本当に『弱虫ペダル』のキャラを好きでいてくれるのが伝わってきました。展示物は時系列順に展示されているので物語の展開を知っている方は知っていると思いますが、コーナーを周るたびに楽しみに待っていたシーンが来る喜びや見たことない展示物が出てくるという感激、感嘆の声を聞いて、僕が用意したわけじゃないけどうれしい気持ちになりました」と述懐した。

その後クラウドファンディング支援者に向けたトークショーが開催される。渡辺は総北の自転車競技部のジャージと坂道のTシャツを着用し、自転車に乗って手を振りながら登場。トークショーは渡辺と参加者の「全力で!駆け上がれ!」の掛け声でスタートした。

まずクラウドファンディング支援者に向けて感謝の意を述べる渡辺。展覧会開催を控えての感想を聞かれると「アナログ原稿で描いていてよかったなと(笑)」と笑いつつ「アナログならではの文字が書いてあります。失敗や間違いも見てわかりますし、そういったわずかな凸凹を見つけて楽しんでもらえたらなと」と話す。また実際に会場を回って気になった展示物について「実物を見て驚いてほしい部分もあるが、少しだけ“触れる”とするのなら……」と振りつつ、泉田の大胸筋体験コーナーを挙げる。「アンディ、フランクだけでなく『アブアブアブアブ』とも言ってきて。ランダムに聞こえてくる泉田さんの“雄叫び”を聞くことができますよ」とオススメしていた。

その後、総北の歴代キャプテンへの思いや、展覧会用に描き下ろしたビジュアルの解説、会場限定グッズについてのトークが繰り広げられる。そして連載の中で思い出に残っている回を聞かれると真波と坂道の勝負のシーンを挙げる。「(連載中)どっちが勝ったほうがいいかスタッフに聞いたら同数で。古株のスタッフの人が『少年誌だから坂道くんに勝ってほしいです』と言っていたのが印象的でしたし、一番最後に主人公チームの敗北を見せられたら(読者は)立ち直れないんじゃないかなと。(もし敗北の展開になったとして)それをひっくり返すいろんな手段も考えてはいましたが、3日間という長い試合をやってきた中で、そこで本を閉じる気持ちになるのは違うかなと。もちろん真波が勝つことは悪くないんです。真波が勝ってうれしい人もいるでしょうしね。ただ少年誌として少年たちの気持ちを揺さぶりたいという思いもあって描きました」と述懐した。

そして連載の中で描くことに苦労した点やネームを描いている際のエピソード、色紙の生描きコーナーが展開される。色紙生描きコーナーでは参加者の希望に沿ったキャラクターを描くことが伝えられると、参加者たちは一斉に思い思いのキャラクターの名前を叫ぶ。渡辺はその様子を見て笑いながら「(気持ちが)届きました」と話し、坂道と巻島の2人を描いていた。なお色紙は会場にも展示される予定だ。

最後に「弱虫ペダル」の今後の展開を聞かれると、「動く可能性があるので断言はできないが、形としては決めています」と発表。そして平日にもかかわらず来場してくれた参加者たちに向けて「『弱ペダ』への愛をいつもありがとうございます」と語りかけ、改めて支援に対する感謝を伝え、イベントは閉幕した。

「超!弱虫ペダル展」は4月21日まで。会場では音声ガイドも販売しており、録り下ろされた坂道と巻島の会話を聞くことができる。会場外には物販コーナーも用意されているため、気になる人はお見逃しなく。


■ 「超!弱虫ペダル展」
会期:2024年3月29日(金)~4月21日(日)
会場:東京都 池袋サンシャインシティ 展示ホールA