Text by CINRA編集部
映画『Ryuichi Sakamoto | Opus』に寄せた坂本龍一のコメント映像、スタッフコメントが到着した。
4月26日から109シネマズプレミアム新宿で先行公開、5月10日に全国で公開される同作は坂本龍一最初で最後のソロピアノコンサート映画。闘病生活を続けていた坂本が亡くなる約半年前の2022年9月に東京・NHK509スタジオで撮影された。コンサートは坂本自身が選曲した20曲で構成。監督は空音央、撮影はビル・キルスタイン、編集は川上拓也、録音と整音はZAKが務めた。配給はビターズ・エンド。
509スタジオで撮影されたコメント映像で坂本は「2020年の6月に癌であることが分かり、表立った活動はしておらず現在も治療を続けています」と告白。「かなり体力も落ちてしまって、通常のコンサートは難しいんですよね。今回は1曲ずつここで撮影して編集し、一つのコンサートとして発表することにしました」と同作の撮影に至った経緯を話し、最後に観客に向けて「通常のコンサートのように楽しんで頂けたら。それでは、Enjoy!」と締めくくった。
なお、本日3月28日は坂本龍一の一周忌。
【空音央監督のコメント】
坂本龍一が意図したコンサートをできるかぎり忠実に映画化するため、本人含めスタッフ一同、全身全霊でOpusを作り上げました。出来上がった映画には物語やセリフはありません。ピアノと身体、音楽と表情だけのコンサート映画です。ウトウトしたら音楽に揺さぶられながら寝ちゃうのも一興。本物のコンサートのつもりで音に身を預け、体験していただければ、本人も嬉しかったんじゃないかと思います。Enjoy the concert!
【ビル・キルスタインのコメント】
『Ryuichi Sakamoto | Opus』での私の担当は照明とカメラでした。撮影が始まると、坂本さんの演奏、美しいオーケストラ・レコーディング・ホール、入念なサウンド・レコーディングが相まって、まるで大聖堂で撮影しているかのような、あるいは森の中でじっと座っているかのような、独特の雰囲気が生まれました。私は常に観察する状態を維持するよう努めようと、坂本さんのライブ・パフォーマンスをスクリーンに収めるために、あらゆる仕草やディテールを記録できるように準備しました。
My responsibilities on Opus were light and camera. Once filming began, the combination of Mr. Sakamoto’s performance, the beautiful orchestral recording hall and the meticulous sound recording created a unique atmosphere – as if we were filming in a cathedral or sitting motionless in a forest. I tried to maintain a state of constant observation - to be ready to record every gesture and detail that could help translate the experience of Mr. Sakamoto’s live performance to the screen.
【川上拓也のコメント】
監督や現場スタッフのみなさんが、それぞれの役割を全うされて、丁寧に捉えた美しい撮影素材をお預かりし、その素材の素晴らしさに常に新鮮な刺激を受けながら、坂本さんが音のひとつひとつと語り合うドキュメンタリー映画と捉え、編集しました。大変光栄であり、純粋に楽しい作業でした。
【ZAKのコメント】
この音を通して、その創造力、ピアノと一体化した身体、それが空間と調和する美しい生命を見て欲しい。
『Ryuichi Sakamoto | Opus』セットリスト
・Lack of Love
・BB
・Andata
・Solitude
・for Johann
・Aubade2020
・Ichimei- small happiness
・Mizu no Naka no Bagatelle
・Bibo no Aozora
・Aqua
・Tong Poo
・The Wuthering Heights
・20220302 - sarabande
・The Sheltering Sky
・20180219(w/prepared piano)
・The Last Emperor
・Trioon
・Happy End
・Merry Christmas Mr.Lawrence
・Opus - ending