isutaでは今週も、SUGARさんが贈る週間占いを配信。
2024年上半期の占いも公開しているので、ぜひ併せてチェックしてくださいね♡
今週の星座占いを全文読みたい方はこちらをタップ 今週のおひつじ座の運勢illustration by ニシイズミユカ
血、泥、花
今週のおひつじ座は、「いのちにふれるというのは、乱れている相手を自分の内部に取り込むことだ」という言葉を噛みしめていくような星回り。
そう語っていたのは、伝説的な生け花作家・中川幸夫。彼がその名を轟かせた作品に『花坊主』(1973)があります。真っ赤なカーネーション900本の花をむしり、それをまるでうつ伏せになった女体の、胴体の下半分のような形をした大きなガラス壺に一週間詰めておくと、花は窒息するのだそう。
中川を扱った章の表紙には、「血に染まる」「花と刺し違える」とありますが、「癒す/癒される」という関係性も、彼にとっては「食う/食い破られる」といったものに近く、少なくともどちらかが一方的に関わって無傷でいられるようなものではないのでしょう。
あなたもまた、もはや黙って素通りすることは許されない、徹底的に関わらざるを得ない何か誰かについて、改めて覚悟を決めていくことがテーマとなっていきそうです。
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力を抜いたり、別の力を加えたり
今週のおうし座は、延々と続く日常にスッと“しおり”をはさんでいくような星回り。
『たんぽぽの絮(わた)吹いてをる車掌かな』(奥坂まや)という句のごとし。ここで留意しておかなければならないのは、車掌はその一連のしぐさを、日常的な業務の延長線上で行った訳でもなければ、恐らくはここらで一息つこうと意図して行ったのでもないということ。
むしろ、どんな意図とも無関係な非意味的な切断がそこにたまたま走ったのであり、それを感じて作者は「いる」という口語体の代わりに「をる」という文語体を選んだのかも知れない。
あなたもまた、そうしたある種の特別な文脈の切り替えにおのずと入っていくだろう。
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聖歌を求めて
今週のふたご座は、みずからに生活にパンでもバターでもなく、美を、詩を、切実に求めていくような星回り。
20世紀前半に生きたユダヤ人女性思想家シモーヌ・ヴェイユは、労働の意味だけでなく、芸術の本質についても、この宇宙を統御している二つの力「重力と恩寵」という独自の用語によって、同名の断章集の中で何度も繰り返し考察していました(田辺保訳)。
彼女は、労働者たちには「その生活が詩になること」こそ必要なのであり、「ただ宗教だけが、この詩の源泉となることができる」こと、また「宗教ではなく、革命こそが民衆のアヘンである」と強調していました。
あなたもまた、彼女の「労働者から詩が奪われていることこそ、あらゆる形での道徳的退廃の理由なのだ」といった指摘を自分事として受け止めていくべし。
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春の世の余韻
今週のかに座は、「余韻に酔う」楽しみに興じていくような星回り。
『一斉に客の帰りし朧かな』(塩谷康子)という句のごとし。
夜風にあたって、客たちの残した余韻をふんわりと包み込む「朧」が消え去るまでの、ほんのひとときの時間。しかし、その時間においてこそ、宴の悦びは極まるのかも知れない。
あなたもまた、春おぼろを胸の奥に通わせてみるといいだろう。
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夢遊病者のごとく
今週のしし座は、自分の思い込んでいる自分をどこまでも相対化していこうとするような星回り。
エマヌエル・スウェーデンボルグは、ストックホルムの大火災を予言したことで有名になった人物。それまでこの種の言説に興味を抱かなかったカントはなぜか彼と手紙で交流するまで親交を深めた結果、カントは霊魂や霊界について『視霊者の夢』という著作まで残したのです。
この著作を通じて非理性的な対象との対峙を余儀なくされたカントは、みずからの理性さえ疑っていくのですが、哲学者の坂部恵はそこにこそ真に根源的な思考があったのではないかと指摘しています。
あなたもまた、「夢とうつつの区別すらさだかでなくなる無定形な不安のうちにたゆたうこと」をあえて試みていくことがテーマとなっていくでしょう。
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声なき声を大にして
今週のおとめ座は、自分自身にとってどうしたって疑いようのない真実を勇気をもって表明していこうとするような星回り。
『バスを待ち大路の春をうたがはず』(石田波郷)という句のごとし。都会の大通りにも春はきた。しかし、それ以上に自分自身に待ちに待った春がやってきたのだ。
そのことを、他ならぬ作者自身が世界中の誰よりも実感していたのではないでしょうか。だからこそ、「うたがはず」とダメ押ししてみせたわけです。
あなたもまた、下手に技巧に走ったり、無理して余裕ぶったりする代わりに、生きている今の実感をストレートに打ち出してみるといいでしょう。
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聖なる顕われ
今週のてんびん座は、笑い笑われるという二重性にきちんと晒されていこうとするような星回り。
林達夫は『笑い』という文章のなかで、原始儀礼や古代儀礼ではシンボルとしての笑うことと泣くこととがともに重要な役割を与えられていたことに注目。
一見すると対極的な泣くと笑うとは「心理的起伏のすがたをありのままに見ると、それはむしろ一つの流れのなかに継起する二つの波であった」もので、例えばそれは植物神の死と復活の祭りで泣きと笑いの結合がことに顕著に見出されるのだと述べています。
あなたもまた、避けがたく露呈してくるおのれの愚かさも、賢さも、等しく受け容れていきたいところです。
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のたりのたり
今週のさそり座は、忙しなさや生産性の文脈の反対側へと振り切れていこうとするような星回り。
『春の海終日のたりのたりかな』(与謝蕪村)という句のごとし。「のたりのたり」は「のたる」という言葉を重ねてつくったオノマトペですが、この「のたる」には這いまわる、のたうちまわる、うねっているなどの意味があり、先の印象に引っ張られて、胎児というのはこんな風に世界に包まれているのかな、などとつい想像してしまいます。
人生にはこうした、自分を包んでくれるような大いなるものに触れたり、つながったりする瞬間が時にどうしても必要になってくるはず。
あなたもまた、どこかで一日くらいは「のたりのたり」と過ごしてみるといいでしょう。
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雲と顕微鏡
今週のいて座は、みずからもまた「流動」していく世界の一部となっていこうとするような星回り。
宗教学者の中沢新一が長年研究してきた明治が生んだ稀代の博物学者・南方熊楠(みなかたくまぐす)についての講演をまとめた『熊楠の星の時間』を読んでいると、熊楠という破格のスケールの人物の持ち得た思想や活動を追いかけていくことで、中沢がそこに「東洋人の思想の原型」を見出そうとしていたことが伝わってきます。
「事物や記号はいったん潜在空間にダイビングしていく見えない回路を介して、お互い関連しあっています。そして潜在空間ではあらゆるものが自由な結合をおこなう可能性を持って流動しています。」
あなたもまた、これまでの自分の仕事や活動を支えてきた世界観を別の方向へとシフトさせていく上で、改めて自分なりの世界観に“オルタナティブ”な展開をもたらしてくれるものを貪欲に模索してみるといいでしょう。
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外に出よ
今週のやぎ座は、ルナティックとエロティシズムに引っ張られていくような星回り。
『外(と)に出よ触るるばかりに春の月』(中村汀女)という句のごとし。月は一見何もやらないようでいて、実はその裏側で何かが行われている。けれども、それを後ろ手出隠して私たちには決して見せない。
月にはそういう粋なところがあって、ただ春の月は、後ろに回していた手をちらっとこちらに見せてくれそうな隙のようなものがあって、それが私たちを惹きつけるわけです。
あなたもまた、そんな春の月のようなある種の「危うさ」を醸し出していくことになっていくはず。
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卵からうまれた子どもへ
今週のみずがめ座は、大人同士のよくあるありふれた結びつき方から脱していこうとするような星回り。
人間は他の霊長類や動物と比べても、自分では何もできない未熟な幼児期が異様に長い生き物です。それは単に絶対的に長いだけでなく、寿命の長さに対する割合から見ても、他のどんな生物よりも長いのです。
発育過程が遅滞ないし遅延することで胎児や幼児の特徴が保持される生物学的な現象は「ネオテニー(幼形成熟)」と呼ばれますが、アメリカの人類学者アシュレイ・モンターギュは人間は生物の中でもっとも劇的にネオテニー戦略を活用した生物であり、それは「子供に留まることが人間に文化の可能性をもたらす」のだとも述べています(『ネオテニー―新しい人間進化論―』)。
あなたもまた、つねに新しい存在としての子ども性をみずからの中に積極的に見出していくことができるかも知れません。
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影をのぞく
今週のうお座は、まなざしの暴力性のなかに飛び込んでいくような星回り。
『巣の中に蜂のかぶとの動く見ゆ』(高浜虚子)という句のごとし。
見えてしまったのは、地下に掘られた巣の暗がりでうごめく頭だけ。さらに「動く見ゆ」と動詞を重ねることによって、狭く閉じられた空間のなかで獰猛な何かがひしめきあっているという、本能的に恐れを感じるような仕掛けがなされています。
あなたもまた、いつも以上に自分の中の隠れた/抑圧された一側面が露呈していきやすいでしょう。
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