3月23~24日、静岡県の富士スピードウェイでスーパーGT公式テストが行われるが、このテストを前に2023年第4戦富士の決勝レース中に火災に見舞われたHOPPY team TSUCHIYAのHOPPY Schatz GR Supra GTがいよいよ修復を終え“復活”を遂げた。3月21日に行われたスポーツ走行に参加し、完成後初走行を無事にこなしている。
次世代を担う若き“職人”を育てるべく、オリジナルのGT300規定車両を製作しスーパーGTに挑戦していたHOPPY team TSUCHIYAは、2022年から投入したチームオリジナル設計のGRスープラGTで参戦を続けてきたが、2023年第4戦富士の決勝レース61周目に発生した火災により、車体の多くの部分を焼失してしまった。
HOPPY team TSUCHIYAはプライベートチームであり、この火災で苦境に立たされることになってしまったが、周囲からの応援の声もあり、車両修復を決断。2023年9月には復活に向けた支援を呼びかける『ホピ子復活プロジェクト』をスタートさせ、多くのスーパーGTファンのみならず、他チームや関係者もこれを支援してきた。
こうした熱い応援の声に後押しされ、チームは長い修復作業を続けていったが、車体で残っていた部分はメインフレーム、チンスポイラー、フロントバンパー、ドア1枚のみ。それ以外はすべて“修復”が進められてきた。結果的に岡山公式テストには間に合わず参加することはできなかったものの、3月21日、徹夜作業の末いよいよ復活を遂げたHOPPY Schatz GR Supra GTが、神奈川県藤沢市のつちやエンジニアリングを出発。富士スピードウェイに戻ってきた。
3回のピットアウト~インを経て戻ってきたHOPPY Schatz GR Supra GTのコクピットから降りてきたのは、チームに“復帰”することになった松井孝允だったが、作業に携わった全員に送るかのように拍手をしながら出てくると、「普通に走るので、早く全開で走りたいです」と好印象。松井は2022年もこの車両をドライブしているが、「ぜんぜん違います」との感想だった。HOPPY Schatz GR Supra GTは公約どおり、強くなって戻ってきたようだ。
まずは今回の富士公式テストでは、復活を遂げたHOPPY Schatz GR Supra GTの走りをぜひ見守って欲しいところ。土屋代表も「自分としては次にやるべきことに目を向けていますが、まずは皆さんに明日、このクルマを観てもらいたいですし、これをやり遂げたウチの職人たちを本当に誇りに思います。それがいちばんですし、この業界に人材という宝が育っていることをお伝えしたいです」という。