毎日、テレビをつければ「大谷さん大谷さん」とドジャースに移籍した大谷翔平選手の話題で持ち切り。野球選手なんだから野球の話だけやって、もっと、こう、心が震えるような野球選手としての活躍をクローズアップしろよとか思ってたんだけど、そんな折にびっくりするニュースが飛び込んできた。
通訳として常に大谷選手の隣に控えていた水原一平氏が、ドジャースに解雇されたのだ。理由はスポーツ賭博に関与していたというもの。
これまでの報道によると、水原氏は違法なスポーツ賭博に関与し、負債を補填するために大谷選手の銀行口座から450万ドル、日本円にして焼く6億7000万円を流用したのだという。
詳細は今後の報道で明らかになると思われるが、要はスポーツ賭博で焦げ付いて、支払うものもなくなったから大谷選手の資金を頼った、というような話だろう。水原氏はメディアでも顔出しする機会も多かっただけに、驚いた野球ファンもいるかもしれない。これで日本一有名な通訳を表舞台で目にすることは今後なくなりそうだ。(文:松本ミゾレ)
負けまくってもやめられないから依存症
個人的に、水原氏のスポーツ賭博に関して意外と言うか、「おっ」となったのが、関与した違法賭博については野球以外のスポーツと報じられている点である。
要は彼なりに、最後の一線として、自分が関係する野球というスポーツだけは神聖視し、賭博の対象にはしたくないという思いがあったような、気がするのだ。あくまでも個人の感想だし、今後別の事実が明らかになる可能性もあるけど。
ただまあ、どっちみち自分でリカバリーできないぐらい負けちゃ意味がない。周りに迷惑がかかっちゃうし。水原氏は自身でもギャンブル依存症であることを認めていたという。負けまくってもやめられないから依存症なのである。
話のスケールはガクンと落ちるが、僕の周りにもレベルの低い水原氏みたいなのがそこそこいる。先日もこんなことがあった。Xで相互フォローしていた男が、同じくXで繋がったシングルマザーに10万円を超える額を無心してきた。
翌月には耳を揃えて返済するという話だったが、「返済は分割でお願いします」とゴールポストを動かし、さらにその返済スケジュールも滞りがちに。やがて借りた額の3分の1も返してない状態でXから逃亡。事前に控えていた電話番号に連絡しても着信拒否。
その後も色々あったが、たかが数万円惜しさ。それもシンママから借りパクした金を惜しんで、とんでもなく意地汚いアクションを見せている。現在もまだ返済はなされておらず、そもそも借金の理由もギャンブルであるようで(ジャンルは不明)呆れている次第なのだ。
また、僕が数年前に仕事で知り合い、しばらくつるんでいた男もギャンブルでの借金で人間関係を崩壊させている。この男の場合はパチンコ、パチスロ依存症だ。知り合った中でも、特に気弱そうな人に、断るほどではない微妙な額面(2万円とかその辺のライン)を借りていき、塵も積もれば理論で結局相当な額の借金をしてしまった。中にはいつまでも返済がないことで怒って取り立てる者もいるが、それができない者もいた。
結局この男もまた、借りた額をまともに返済することもなく、界隈から身を隠して今に至る。僕も彼から借金を要請されたことがあるが、逆にその後に彼からパチスロ代を工面してもらったこともあるので、被害に憤る知り合いになかなか同調できずに苦い思いをしてしまった。あの時は助かったよ、ありがとう(小声)。
それからこれは前にもこちらのコラムで書いたことがあるが、オンラインカジノに手を出してどうしようもなくなり、奥さんと離婚した上に知り合いに借金をお願いして回った知り合いもいた。
僕は普通にお金がなかったので手助けもしなかったが、結局こちらの場合も共通の知人のほとんどに「お金貸してくださいや!」してたみたいで、そういうタイプには見えなかっただけに驚いた。やはり身の丈以上のギャンブルは人を狂わせるのだ。
人間、諦めなければ必ず復活の目がある
と、ここまで身近なギャンブル破綻者についての話をしてきたが、冒頭の水原氏のように、えらいことになって仕事をクビになっても、人生はまだ続く。そして人間、諦めなければ、博打で痛い目を見ても、そこから復活はできるのだ。
それこそ大王製紙の元会長の井川意高氏を見てごらんなさい。創業者一族の出身で、ティッシュ御曹司とも呼ばれた彼も、カジノで106億円もスッて一度は背任で有罪となり、服役した。
現在は自身の失敗を踏まえた上での執筆活動などを行っており、たまにカジノにも行くようだ。Xでも結構積極的に発信もしているし、刑期を終えてしっかり社会復帰できているように見える。人はやり直せるのだ、ということがあの人を見ているとよく分かる。
水原氏の場合だって同じことが言えるはず。負けて負けて、また負けて、冷静さを失って手を付けてはならないお金に手を付ける。そういう人は残念ながら多くいる。だけど、その責任をキチンと取って出直す道もある。自棄にならずにもう一度真面目に歩んでほしい。