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「不健全図書」の名称やめて 東京都の「発禁処分」が漫画家の"命"を断つ…作家ら改称要望

2024年03月21日 18:50  弁護士ドットコム

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東京都が指定する「不健全図書」の名称が漫画家の活動に弊害を与えているとして、「日本漫画家協会」の有志らで作る表現活動部は3月21日、都議会の複数の会派に改称の要望書を提出した。


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18歳未満の子どもへの販売をさせないための措置であるにもかかわらず、指定されると流通が止められ、実質的に大人にも販売できない状態にあることを問題視している。「名探偵コナン」の青山剛昌さん、「進撃の巨人」の諫山創さんら112人の作家が要望書に賛同。



提出後に開かれた会見では「はじめの一歩」の作者・森川ジョージさんらが「現実的な発禁となり、漫画家の収入が断たれている」と訴えかけた。



●「Amazon」の流通が電子版含めてストップしてしまう

都の青少年健全育成条例で定められた「不健全な図書類(不健全図書)」は、審議会の答申を経て指定されると、18歳未満の青少年への販売などが禁じられる。



書店などが扱う際には、青少年が中身を見たり購入できないように、陳列場所を用意する「ゾーニング」などの措置が必要となる。



漫画家の森川ジョージさんは、指定を受けた漫画について「読みたくない人もいるでしょうし、子どもに見せたくない人もいるでしょう。それは納得できます」としながらも、制度の実情について説明する。



「指定を受けた作品はAmazonでは取り扱われず、実質的な『発禁』となり、収入を断たれる漫画家が出ています」(森川さん)





ボーイズ・ラブ(BL)を描く漫画家の星崎レオさんは、2022年4月に作品が「不健全図書」に指定された。



「指定されたコミックはAmazonで電子版も含めて取り扱いがなくなりました」



収入面の不利益だけではなく、「不健全」のレッテルを貼られたことにより、「性犯罪者と言われた」ことがあったという。



●東京都だけが「漫画」を狙い撃ちにしていると主張

会見での説明によると、他府県でも同様に「有害図書」を指定することがあるものの、広く「印刷物」を対象としているのに対して、東京都だけが「漫画」だけを狙い撃ちしている状況だという。また、不健全図書に指定された場合、東京都に制度の中で取り消しを申し立てることができないという。



森川さんは「今回の改称の要望はあくまで入口」だと位置付けて、条例改正も見据えて改善に向けて動く考えも持っている。





指定による不利益が生じることで、作家らを萎縮させていると森川さんは指摘する。



「表現の自由が損なわれている。それは問題だと思っています」



また、審議会の議事録は公開されているものの、指定に至った理由や基準が不明確なことも問題だとした。



「審議会はその時に出席する委員の"お気持ち"で選んでいる。規定が曖昧で、我々にとっての指標がない」



「なんのデータも残ってない。不健全図書を指定して、何がどうなったという検証もできない」