欧州連合(EU)は、元F1ドライバーのニキータ・マゼピンに対する制裁を解除した。EUの一般裁判所は、2022年にロシアがウクライナに侵攻した後に導入された制裁リストにマゼピンを載せることを正当化することはできないと述べている。
EUは以前、マゼピンと彼の父親であるドミトリー・マゼピンの両名に制裁を科した。制裁措置には、彼らの資産の凍結とEU加盟国への入国禁止が含まれていた。この決定は、マゼピンの元所属チームであるハースF1が、侵攻を理由に彼と彼の父親の会社でタイトルスポンサーのウラルカリ社との契約を破棄した直後に下された。
昨年、アジア・ル・マン・シリーズでレースキャリアを復活させたマゼピンは、世界中の制裁リストから自身を削除するよう求めてきたが、これまで成功していなかった。
EUは、マゼピンを家族としての関係以外で父親の活動に結びつける十分な証拠がないと主張し、見解を覆した。さらに、以前マゼピンのレース活動に資金を提供していたウラルカリ社のスポンサーシップについては、彼が今はハースに所属していないため、もはや関連性がなくなっている。一般裁判所の声明は、家族関係のみにもとづいてマゼピンに制裁を科すことは不当だと強調している。
一般裁判所の声明では、次のように述べられている。
「一般裁判所は、ニキータ・マゼピン氏に適用される『関連性』の基準は、一般的に共通の利益によって結びついている人物を対象としていることを喚起する」
「定められた判例法によると、この基準は十分に具体的かつ正確で、一貫性のある一連の指標に照らして確立された、家族関係を超えたつながりの存在を意味する」
「一般裁判所は、本件の状況において評議会がそのようなつながりを確立するための立証責任を果たしていなかったと考える」
「ニキータ・マゼピン氏と彼の父親との関係は、制裁決議が採択された時点で両者を結びつける共通の利益が存在していたからといって、決して経済や資本の観点から確立されたものではない」
マゼピンは、判決に満足していることを表明する声明を発表した。
「今日の判決には非常に勇気づけられた。僕の訴訟を公正に裁判にかけてくれた欧州裁判所に感謝している。これは間違いなく重要な節目だ」