我が子がいじめに遭ったら、親としてどう対処するのがいいのだろうか。鹿児島県の40代前半の女性(サービス・販売・外食/年収100万円)は、
「中学生のとき、我が子(長子)がいじめのターゲットになりました。(中略)大っぴらに物を隠したり、先生の前で仲間はずれにしたりはしないで、陰で(嫌がらせを)されていて。それでも『自分が休んで喜ぶのはあいつらで、先生たちはなんで休んだかわかってくれないだろうし』と、我が子は毎日学校に行き、部活もやめず、無視や陰口などにじっと耐えました。毎晩毎晩泣いて泣いて、卒業までキツい2年間でした」
と、いじめの詳細と当時の苦しい胸中を打ち明ける。(文:福岡ちはや)
「みんな仲良くしたいんだから、自分からみんなの輪に入る努力をしないと」
女性の子どもが通っていたのは、保育園・幼稚園から中学校まで1学年1クラスしかない小さな学校で、保育園の頃から「強い親子に逆らえない環境」だった。いじめの首謀者は女性の子どもと同じ部活に所属しており、部活のメンバーは首謀者に逆らえずいじめに加担していたそうだ。女性は、
「私は(いじめ被害を)部活の顧問に訴え、担任に訴え、副担任に訴えましたが、『部活メンバーに聞くと“いじめていない。ただのケンカ”とのことなので、いじめはない』と返答がありました」
と憤る。しかし、部活メンバー以外の生徒に話を聞くと、「ケンカじゃないよ。部活メンバーがいじめているよ」と答えが返ってきた。明らかにいじめの事実があるのに、学校側が認めてくれないのは悔しかっただろう。そのうえ、ある保護者は女性の子どもに対して、
「みんな仲良くしたいんだから、自分からみんなの輪に入る努力をしないと」
と心ない言葉をかけてきた。「我が子の被害妄想扱い」にしたがる周囲に負けず、女性親子はいじめに耐え続けたそうだ。
「『ごめんね、私のせいだ』とかなり苦しかったです」
女性は「親同士が揉めると我が子により被害が来る」と考え、当たり障りのない人間関係を心がけていたが、ついには長子だけでなく次子にもいじめ被害の影響が出始めた。女性は当時について、
「ある日、キツいことを言われました。『うちの子と関わらないで』と。(中略)次子はまだ幼稚園だったのですが、それまで遊んでいたメンバーがなぜか遊んでくれなくなり悩みました。『ごめんね、私のせいだ』とかなり苦しかったです」
と振り返る。やがて次子は小学生になり、別の友達と遊ぶようになった。しかし女性は相変わらず、次子と同じ習い事に通う子どもたちの保護者から一定の距離を置かれていたそうだ。それにもかかわらず、女性親子が習い事の場所を変更しようとすると、保護者たちはいろいろと文句を言ってきた。
「人数が必要で、我が子が抜けると困る習い事だったので、(文句を)言われるのは覚悟していましたが、ステップアップのために仕方がなかったのです。そこで母親同士は完全に絶縁しました」
一方、当の子どもたちは親同士の絶縁をものともせず、こっそりと連絡を取り合っていたそうだ。結局、子どもよりも大人のいじめのほうがずっと陰湿なのかもしれない。女性は最後に、
「長子は高校生活を楽しみ、成人を無事迎え、部活メンバーとは連絡を取っていませんが、あのとき『いじめられてるよ』と教えてくれた同級生たちとは仲良く遊んでいるので一安心です」
と後日談を書いていた。いじめを乗り越えた長子が、たくましく社会を渡っていくことを願ってやまない。
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