ブレインスリープは3月7日、「睡眠偏差値」の2024年の調査結果を発表した。調査は全国の男女を対象に1月にインターネット上で行い、1万人のサンプルを得た。
睡眠偏差値は睡眠習慣や睡眠負債、生産性への影響などから算出。同社は2020年から調査を実施しており、今回で5年目となる。
その結果、睡眠時間は2023年と比較して7分増え、「6時間50分」だった。2020年と比べると23分増えているものの、それでも理想とする睡眠時間からはほど遠い。理想の睡眠時間は「7時間40分」という結果になり、50分も足りていないことがわかった。
厚生労働省が成人に推奨している睡眠時間は6時間以上だが、調査で「6時間未満」だった人の割合は23.7%だった。2020年と比較すると、3.7ポイント減った。
睡眠の質が悪い人ほど出社が憂鬱
睡眠の質の悪化は、仕事のパフォーマンスにも大きな影響を与える。回答者の70%が「睡眠が生産性に強く影響している」または「影響している」と回答していた。
続いて、睡眠の質のランク別に経済損失額を調査。睡眠の質に課題がないAランクの人の経済損失額は年間89万円で、要改善のDランクの人では年間165万円と76万円の差があった。
なお、睡眠の質のランクは、オリジナルの回答結果をスコアリングし、さらにAからDの4段階のランクに置き換えた。経済損失額は、自身の生産性を0~100%で表現した際の回答値と年収を掛け合わせて算出した。
メンタルヘルスと長時間労働の関係性は以前から注目されているが、同社によると、近年の研究で長時間労働はメンタルヘルス悪化の直接的な原因ではなく、長時間労働から起こる睡眠不足がメンタルヘルス悪化を引き起こしているという報告もある。
そこで、出社するのが憂鬱と感じている日数を調べた。その結果、「週1回以上」という回答者は約6割となり、そのなかでも「週5日以上」という回答者は2割以上に達した。
また、「0日」の人は睡眠の質スコアが平均76.6ともっとも高く、「週5日以上」の人と比べると、8.7ポイントの差があった。睡眠の質が悪い人ほど出社が憂鬱と感じているようだ。
睡眠偏差値の低い人は長時間労働の傾向
睡眠偏差値の高かった「TOP1000」層と低かった「WORST 1000」層を比較すると、睡眠の質に影響を及ぼす行動が見えてきた。「就寝前のスマホの利用率」は、TOP1000は7.7%だったのに対し、WORST1000は50.5%と半数以上が就寝前にスマホを利用していた。
働き方についても、TOP1000とWORST1000で差が開いた。総労働時間は1時間20分の差、特に時間外労働時間では1時間33分の差があり、いずれもWORST1000の方が長い時間働いている。
さらに不規則な働き方でもあるシフトワーカーの割合もWORST1000の方が8.5%多かった。働き方を急に変えるのは難しいが、スマホを就寝前に見るのを止めるのは今夜からできる。簡単にできることから改善していくのがいいだろう。