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安東弘樹のクルマ向上委員会! 第62回 クルマにGoogleってどうなの? ボルボ「C40」で試す

2024年03月13日 11:31  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
どんなにいいクルマでも、UIがいまいちだとガッカリしてしまう。例えばカーナビの操作感や地図の見やすさ(色使いやフォントも含む)、音声コマンドの聞き取り精度などは、クルマの印象を決める重要な要素だ。このあたりをまるっと「Google」にしたボルボの最新モデルはどんな仕上がりなのか。安東弘樹さんが電気自動車(EV)「C40」に試乗した。


ボルボ「C40」ってどんなクルマ?



C40はクーペSUVスタイルのEV。搭載するバッテリーの容量は73kWh、フル充電での走行可能距離(WLTCモード)は590kmだ。インテリアはリサイクル素材を積極的に採用。標準装備の大型パノラマ・ガラス・ルーフで自然光を取り入れる車内は100%レザーフリーを達成しているが質感は高い。インパネにはスウェーデン・アビスコ国立公園の山々を等高線で表現した模様をバックライトで浮かび上がらせる「Topographyパネル」を採用。いかにもボルボらしいスウェディッシュ・デザインな1台だ。


ボルボでは通信機能を有するGoogle搭載インフォテイメントシステムの採用を進めている。C40もGoogleが入ったEVだ。Googleアシスタントによる優れた音声操作機能、充電スポットや目的地までの電池残量の案内を行うナビゲーション機能など、EVの使い勝手を向上させる機能を搭載している。スマートフォンのように好みのアプリをインストールして機能を拡張させることが可能だ。



安東弘樹さんがボルボのEVに乗るのは今回が初めてとのこと。JAIA(日本自動車輸入組合)主催の試乗会でC40をチョイスし、大磯(神奈川県)周辺を走行した。


「C40」の走りはどう?



マイナビニュース編集部:まず、C40のデザインはどうですか?



安東弘樹さん:悪くないんですけど、色も含め少し地味めですかね? ボルボらしいといえばボルボらしいんですけど。インテリアもシンプルですね。



編集部:北欧っぽい?



安東さん:まさに、そんな感じです。荷室を見たんですけど、後席のシートバックが4:2:4の分割で倒れるのではなく、センタートンネルがあるのが最近では珍しいと思いました。


編集部:走りについてはどうでしょう? ボルボと聞いて「速い」という言葉はすぐには連想しないと思うんですけど、C40については加速がスゴイですよね?



安東さん:「ドカン!」という感じではないですけど、普通に速いですね。ただ、テスラやBMWの一部のEVなどに比べると、そこまででもないです。



編集部:確かに。このあいだ、BMWの「iX1」というEVに乗ったんですけど、とんでもなく速かったです。



安東さん:「1でもこれかよ!」と思うくらい速いですよね!



編集部:おまけにブーストボタンというものまでついていて、よくわからず押してみたらメーターパネルで10秒前からカウントダウンが始まったんで、ゼロになったらロケットみたいに飛び出すのかと思って、ブレーキを踏む準備をしながら震えてたんですよ。



安東さん:(笑)。あれは、10秒以内にアクセルを踏むとさらに加速がよくなるっていう機能なんですよね。


編集部:C40は、いわゆる「ワンペダル走行」ができるEVですよね。アクセルペダルを離せばクルマが回生ブレーキで減速して、最終的に停止までしてくれるので、基本的にはアクセルペダルだけで操作できて、ブレーキペダルを踏む頻度が減らせるという機能ですが、使い心地はいかがでしょうか?



安東さん:正直に言いますと、回生の強さ(アクセルペダルを戻した時の減速の加減)は、ステアリングに付いているパドルなどで簡単に調整できる方が私は好きです。このクルマもそうですが、センターディスプレイで回生の強さを調整する方式だと、走りながら強弱を変えるのが難しいからです。ワンペダルも簡単にON/OFFが選択できれば、例えば都市部を走るときや渋滞時にはONにするとか、便利に使えるんですけどね。



C40のワンペダルモードは、ずっと、少しだけブレーキがかかっている感じといいますか、自分の感覚とクルマの進む感じが合っていない感じがします。



編集部:回生については「オート」モードも選べるみたいですね。



安東さん:試してみましたが、前にクルマがいると強めの回生が働いて、前が空いているとスーッとコースティングする感じでした。これが一番、効率よく走れるモードなのかもしれないですね。

車載Googleに感心! UIは完璧?

編集部:最後に肝心のGoogle搭載インフォテインメントです。音声認識についてはメーカーによってもクルマによっても精度がまちまちな印象です。以前、ある国産車の試乗で安東さんとご一緒したとき、安東さんの音声コマンドがクルマに聞き取ってもらえない状況を見て驚いたことがありました。アナウンサーさんのコマンドが聞き取れないようでは、ほとんどの人のコマンドが聞き取れないんじゃないか? って感じがしました。



C40はGoogle搭載なんで、そんなことはないと思うんですが……。



安東さん:要するに、Googleなわけですもんね? スマートスピーカーくらいの聞き取り能力があるんでしょうか? 試してみますね。



オッケーグーグル。一番近い充電ステーション教えて?



C40(というかGoogleアシスタント):わかりました(画面にルートを表示)。この場所までナビしますか?



安東さん:キャンセル(ルートが消える)。これは優秀ですねー! すばらしい。



編集部:インフォテインメント関連は自動車メーカーが自分で作るよりも、Googleとか、まあソニーとかアップルでもいいんでしょうけど、そういう人たちに作ってもらった方がいいんじゃないかと思ってしまいます。



安東さん:おっしゃる通りかもしれないですね。自動車メーカーにとって、専門分野じゃないからでしょうか?



編集部:だと思うんですけどね。



安東さん:餅は餅屋といいますしね。


編集部:Googleなので、たぶん、クルマに関することじゃなくても音声コマンドが通ると思いますよ。何か質問するとか。



安東さん:オッケーグーグル。江戸時代は何年から何年?



C40:1603年から1868年までです。



安東さん:すばらしい! 完璧ですね。大政奉還が1867年で、翌年からは明治時代ですもんね。私は大政奉還からちょうど100年後の1967年生まれなんで、覚えているんです。



編集部:夏目漱石の100歳下ですね。



安東さん:そうなんですね!? ちなみに、大政奉還からたったの100年しかたっていないときに生まれたのかと思うと、愕然としますよ。そんなに昔に生まれたのかって(笑)。



編集部:というよりも、大政奉還が意外に最近というか、そこまで昔の話じゃないんですよね。



安東さん:太平洋戦争の終戦からだと、生まれたのがたったの22年後。22年前なんて、今考えると、ついこの間じゃないですか?



編集部:ほんとですね!


安東さん:オッケーグーグル。音楽が聴きたい。



C40:YouTubeの音楽ステーションを再生します。



※車内にメロウなソウルミュージックが流れ始める。



安東さん:優秀。断然、優秀ですね。クルマの音声コマンドでストレスを感じなかったのって、これが生まれて初めてかもしれません。



編集部:ナビもGoogleマップなので表示が見やすいですし、情報が最新だという安心感がありますよね。



安東さん:UIは完璧なんですが、ワンペダルはスイッチで簡単にON/OFFできないし、回生の強さはパドルなどで調整できない。ほんとに、クルマって一長一短ですね。



安東弘樹 あんどうひろき 1967年10月8日生まれ。神奈川県出身。2018年3月末にTBSを退社し、フリーアナウンサーとして活躍。これまでに40台以上を乗り継いだ“クルママニア”で、アナウンサーとして初めて日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。 この著者の記事一覧はこちら(安東弘樹)