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花王とアイスタイルが「RNA共創コンソーシアム」設立 コーセーやマツキヨココカラ&カンパニーなどが参画

2024年03月11日 19:21  Fashionsnap.com

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Image by: 左から、キリンホールディングス 執行役員 ヘルスサイエンス研究所長 藤原大介氏、マツキヨココカラ&カンパニー 取締役 グループ営業企画統括 副統括 松田崇氏、花王 取締役 専務執行役員 西口徹氏、アイスタイル 上級執行役員 CSO兼経営戦略室長 濱田健作氏、コーセー 執行役員 経営企画部長 原谷美典氏
 花王とアイスタイルが、ビューティ&ヘルス産業のサステナブルな発展のため、皮脂RNAモニタリング技術を核としたビジネス共創をめざす、「RNA共創コンソーシアム」を共同設立した。両者が理事となり、共創パートナーで各業界を代表する幹事社として、コーセー、マツキヨココカラ&カンパニー、キリンホールディングス、パーフェクト、ヘルスケアシステムズを迎えた。 今後、RNA情報を基準に生活者にとってさらに満足度の高いパーソナルな商品・サービス選択が叶う仕組みを創出する。

 花王は、あぶらとりフィルムで顔の皮脂を採取し、その皮脂からRNAを抽出して網羅的に分析する花王独自の解析技術、皮脂RNAモニタリングを開発。DNAがその人固有の一生変化しない情報であるのに対し、RNAは体調や食生活、運動、ストレス、紫外線といった環境要因によって変化するため、その時々の肌や体の状態を知るのに有用であるとし、皮脂RNAモニタリングはそういった肌状態を知れるほか、乳幼児アトピー性皮膚炎やパーキンソン病を早期に判別できる可能性があることなどを研究成果として報告してきた。
 さらに同社は2022年からアイスタイルと協業し、アイスタイルが運営する「@cosme」サイトで承諾を得られた会員の皮脂RNAを収集して、似た皮脂RNA特徴を持つ人をグルーピング。これにより2つの肌タイプの存在を明らかにした。加えて花王はこれらの取り組みから、これまで皮脂を直接顔から採取しなければ解析できなかった肌タイプ分類(肌遺伝子モード)を、顔写真から特定する技術も開発した。
 そして人生100年時代と言われる中で健康で快適な生活を送りたい、また多くの選択肢の中から「自分のめざす姿に何が必要か、一方で不必要なのかを見極めるための基準が必要」といったニーズが高まっていることから、皮脂RNAモニタリング技術を核とした、さまざまな企業とのビジネス共創をめざし、RNA共創コンソーシアムを立ち上げた。コンソーシアムでは、美容健康サービスの「作る」「売る」「選ぶ」ための新基準制定や標準化、ビジネスユースケースの実証、ビジネス連携支援等の活動を推進。RNA情報を基準としたケアやサービスが社会に浸透することで、生活者にとって、さらに満足度の高い商品選びを叶える。同時に、美容、ヘルスケアをはじめとするさまざまな領域の企業においても、生活者の悩みに対応する新たなソリューション提案や、商品開発・サービス開発におけるイノベーションの推進につながることが期待できる。
 今後、ビューティ&ヘルス業界全体で取り組むべく、参加する企業を募る。各社の持つデータや研究知見を融合して顧客や産業の課題解決を促進し、新たな価値を創造することで、業界のサステナブルな発展を実現する。
 花王は「買っても買っても理想のアイテムに出合えない、化粧品“迷子”を救う」といった目標を掲げ、アイスタイルとこれまで協業してきた。今後、花王とアイスタイル、さらには参画する企業とともに、世の中にあるけれども、理想のアイテムに出合えていない生活者に向け、生活者の口コミと皮脂RNAモニタリング技術の客観軸を組み合わせ新たな仕組みをスタートさせることで、健全な市場の発展と生活者のウェルビーイングにつながることを目指す。西口徹 取締役 専務執行役員は、「RNA技術は、社会実装の段階に入った」と語る。
 共創パートナーとして参画するコーセーの原谷美典 執行役員 経営企画部長は、「当社の経営の中長期ビジョンとして『ビューティだけではなく、ヘルス(Health)・キュア(Cure)領域も包含したウェルビーイング領域での提供価値』を目指しており、その中で身体や肌の状況変化を反映できる可能性のある皮脂RNA技術に注目しました。今回、メーカーから流通まで、複数の企業が集うコンソーシアムに参画することにより、店頭を含めた実証実験をはじめとした検討を重ね、得られたデータ、知見などから総合的なウェルビーイングを高められるソリューションになるのではないかと期待しています。さらに化粧品企業として、これまで乾燥肌、オイリー肌といった自分の経験値での肌分類はあったものの、それとは別に独立したRNA分析結果による分類ができたのは画期的なこと。加えて、コンディションや体調によりうつろう、その人のその時の肌状態に合わせた、状態が把握できるのは魅力。今後、皮脂RNA分析技術を応用した化粧品を提供するということも視野に入れていきたい」と語った。
 さらに会見に登壇した経済産業省の堀部敦子 商務・サービスグループ 生物化学産業課 生物多様性・生物兵器対策室 室長は「今回の技術により、合わないという理由でこれまでたくさん捨てられてきた化粧品の廃棄を減らすという可能性も期待できる。地球環境にも優しい経済活動に貢献してもらえたら」と述べた。