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M.マルケス、開幕戦は「まだ限界で走っていない」。目標達成の決勝4位は布石か/第1戦カタールGP決勝

2024年03月11日 16:20  AUTOSPORT web

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3番手に迫るも、残り2周でタイヤが終わってしまった。しかし、様々なことが「移行中」の状況で4位はお見事
 マルク・マルケス(グレシーニ・レーシングMotoGP)のMotoGP開幕戦カタールGPは、鮮烈なドゥカティ移籍後初レース、とまでは言えなかったかもしれない。スプリントレースで5位、決勝レースで4位という結果だった。だが、マルケスは自分の掲げたターゲットを、移行中のライディングスタイルで達成したのだった。そこには、今後への期待が潜んでいた。

 マルケスはカタールGPで、優勝あるいは表彰台争いの話をするには早いと考えていた。開幕戦の目標はトップ5、6争いで、マルケスはあくまでも現実的に考えていたのである。

「ターゲットはトップ5、6争いをすることなんだ」と言ったマルケスは、土曜日後の囲み取材のなかで、その理由を続けた。

「なぜかというと、そこで戦っていると、競争心を感じるから。勝てるかどうかというと、チャンピオンになるには多くの側面において正確でなければならない。ただ、少なくともトップ5、6のポジションで戦っていると競争心が湧いてくるし、週末が短く感じられる。短く、楽で、そしてストレスも少ない。カタールは過去数年間では悪夢みたいな週末のひとつだったんだけど、今年は楽しんでいるよ」

 日曜日の決勝レースで一時は3番手に迫り、4位でゴールしたマルケスは、レース後の囲み取材で、いつもと同じように軽快にジャーナリストからの質問に答えていった。けれど、その表情には、いくぶんの柔らかさが混じっているように見えた。安堵があったのかもしれない。

 このレースで何を学んだか、と問われたマルケスは、こう回答した。

「ドゥカティでの初レースだ。もちろん、堅実な週末だった。プレシーズンみたいにね。過大評価しないように、ミスをしないように。どんな状況でも冷静でいるように努め、クレイジーなことはしないように」

「木曜日の会見で言ったように、期待はすごく大きいよ。ただ、僕は自分のスタイルを貫く。今年は情熱的に生きたい。楽しみたい。またトップ5争いがしたい。これが、この週末に僕がやったことなんだ。楽しんだよ。毎日自分のライディングスタイルを改善して、少し変更したりして」

「堅実な週末」というとマルケスらしからぬ言葉にも聞こえるが、実際のところ、今のマルケスに必要なものだったのだろう。そして、ターゲットに据えたリザルト、つまりトップ5を達成した。マルケスはいつも、自分に必要なものを具体的によくわかっている。そして、それを成し遂げる集中力をも持っている。今回も同様だ。こうしたアプローチは、ホンダ時代から変わらないように見える。

 ロサイル・インターナショナル・サーキットはマルケスが得意ではないサーキットであり、そしてまた、ライディングスタイルについてホンダからドゥカティへ移行中であることも、忘れてはならない。マルケスは木曜日の会見で、開幕戦で最も懸念することは何か、と問われ、「本能」と答えた。本能のままに走ると、ホンダ機のライディングスタイルになってしまうからだ。マルケスは、まだ、本当の意味で全開で走れてはいないということだ。

 こうした状況を踏まえれば、スプリントレースの5位、決勝レースの4位は、マルケスにとって必要な結果であったとともに、再び優勝、あるいはチャンピオン争いに加わる布石とも言えるのかもしれない。