静岡の久能山東照宮によるクラウドファウンディング「刀剣伝承 歴代将軍の名刀に 命の御衣(みごろも)を皆の手で。」が、本日3月6日にBOOSTERでスタート。これを記念し、ゲーム「刀剣乱舞ONLINE」でソハヤノツルキのキャラクターデザインを担当する三輪士郎がイラストを描き下ろした。
【大きな画像をもっと見る】久能山東照宮では現在、刀剣を維持保管するために必要不可欠な拵(こしらえ)と白鞘(しらさや)が激しく劣化している状況。徳川家康の愛刀「ソハヤノツルキ」をはじめ、徳川歴代将軍14振りの刀剣の伝承は危機に瀕している。そこで、刀剣保全に必要な資金を募るためのクラウドファウンディング実施に至った。目標金額は1000万円で、本日から5月6日まで支援者を募集中だ。
久能山東照宮が2017年に行ったクラウドファウンディング「刀剣修復プロジェクト」にも協力した「刀剣乱舞ONLINE」。「刀剣文化の発展及び文化財を後世につなぐ」というプロジェクト主旨に共感し、今回のクラウドファウンディングにも全面的に協力した。返礼品には、三輪の描き下ろしイラストを使用したアイテムもラインナップされている。
■ 落合偉洲氏(公益社団法人 全国国宝重要文化財所有者連盟理事長/久能山東照宮名誉宮司/久能山東照宮博物館館長)コメント
貴重な文化財を後世に残していくためには、保存修理していく必要がございます。そこには、材料や技術などさまざまな課題が山積していますが、中でも一番大きな問題が費用となってまいります。
日本の宝である文化財を修理保存し、次の世代にバトンを渡していくためには、皆様のご支援が不可欠です。
クラウドファンディングを通じて、多くの人たちに文化財の大切さや課題を知っていただく機会にもなればと思います。
■ 森井敦央氏(鞘師)コメント
拵・白鞘ともに復元や新調する説明書もありません。最も困難な仕事になります。その上、継承されず途絶えてしまった技術や物が多数あるのが現実で解決すべき課題が山積しています。しかし、物に関しては、見つかるまでとことん探していき、それでもない場合は、自ら作り上げていきます。
当時の技術や物をしっかり探求し今後、次世代が同じ課題に直面しないようにバトンを渡していく必要があります。
※鞘師とは、刀剣を収める刀装具・鞘(さや)を作る職人。
■ 遠山和康氏(刀剣柄巻師)コメント
欠損してる部分が非常に多く、当時作られていたであろう材料は現代にはありません。そのため、材料そのものを用意することさえも困難を極めます。
柄の復元では、生地が朽ちてしまい部分的にしか残っていません。朽ちている部分をどう繋ぎ合わせていくか、が大きな課題です。実際には、綿密に図面に起こし、当時の織りの技術や染色、材料、色味を一から再現していく必要があります。当時の柄巻きの糸は、手組みならではの風合いがあり素晴らしいものがあります。先人の職人たちが、どういう想いで巻いてきたのかということをしっかりと理解することも重要です。今回の修復は私にとっても挑戦と思っています。
※刀剣柄巻師とは、刀の柄全体に柄糸と呼ばれる紐を巻き付け、柄巻(つかまき)を施す職人。
■ 中田晃司氏(刀剣白銀師)コメント
復元模造制作の難しさは、まず素材となる金具を作りだし、揃えること、そして形にすること双方ともに難易度は「最上級」です。金具自体を作り出すことが困難な上、形にする際には、当時は多数の職人が分業して作っていきましたが、現代では日本刀に携わる職人が少ないので、昔のようにはできません。技術面では、とにかく難しいに尽きますが、技術の総力を結集します。1つ1つ手彫りを行う手の感触や、職人の目、そして金具を打っていくのに相当な精神力が必要なので覚悟しています。※刀剣白銀師とは、刀の鎺(はばき)を制作する職人。
■ 小坂崇氣氏(ニトロプラス代表取締役・「刀剣乱舞ONLINE」原作プロデューサー)コメント
ゲームやアニメを制作している株式会社ニトロプラスの小坂崇氣(こさか たかき)と申します。私は刀剣を題材にした「刀剣乱舞(とうけんらんぶ)ONLINE」というゲームの原作プロデューサーをしております。
刀剣は、日本最古の書物といわれる「古事記」や官撰の史書「日本書記」にも重要なアイテムとして登場し、日本文化において大変意味深いものです。単なる武器というだけではなく、世の安寧を願って社寺仏閣に奉納するなどして、日本古来より人々の精神を支える存在だったのだと思っております。1000年以上の時を経て、今もなお健全な状態の刀剣が数多く残されているのは、大切に守り抜くべきものであるという証であり、それが、先人達の絶え間ない努力の積み重ねによってなし得ていることは言うまでもありません。
「刀剣乱舞ONLINE」は、数々の名刀から刀剣男士という戦士を顕現して、歴史を守るために戦うというゲームですが、その刀剣男士の1振りとして「ソハヤノツルキ」が登場します。この刀剣男士は、久能山東照宮様が所蔵される重要文化財の「太刀 無銘 光世作(ソハヤノツルキ)」をモチーフとしております。キャラクターとして名前を使わせていただき、コラボレーションなどを通して作品に寄り添っていただいているご恩や、ソハヤノツルキを大切に維持や管理されていることへの敬意の気持ちから、我々にできることで恩返しをさせていただきたいという想いが常々ございます。
この度、大切な徳川歴代将軍の刀剣の白鞘を新調し、「国宝 太刀 真恒」の拵の復元をされるとのこと。現代では素材や技術が失われていることもあって、これらを実施するには、卓越した技術をお持ちの名工の力が必要とお聞きしています。このプロジェクトを通して、失われた素材と技術の再検討や復元が行われ、伝来の拵えが在りし日の姿を残したまま後世へと継承されていくことを望んでやみません。また、白鞘が新調されることによって、貴重な歴代徳川将軍ゆかりの刀剣をより安心して保管維持できるようになります。日本が誇る刀剣文化財と刀剣文化を守っていくため、このプロジェクトの実施を皆様とご一緒に応援できればと願っております。
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