映画「THE FIRST SLAM DUNK」キービジュアル (c) I.T.PLANNING 第74回芸術選奨文部科学大臣賞のメディア芸術部門を井上雄彦、田村由美が受賞。同新人賞にはアニメーション作家の和田淳が選出された。
TAAF2024作品賞に選ばれた「THE FIRST SLAM DUNK」 芸術選奨文部科学大臣賞は芸術各分野において、毎年優れた業績を挙げた人物、またはその業績によってそれぞれの部門に新生面を開いた人物を選奨し、芸術選奨文部科学大臣賞および同新人賞を贈ることにより芸術活動の奨励と振興に資するもの。演劇、映画、音楽、舞踊、文学、美術A、美術B、メディア芸術、放送、大衆芸能、芸術振興、評論の12部門にて実施され、受賞者には賞状のほか、大臣賞には120万円、新人賞には80万円の賞金が贈呈される。
贈賞理由として、井上はアニメ映画「THE FIRST SLAM DUNK」において「映画の大半は3DCGが用いられたが、氏自身が大量の絵を描き下ろし指示を出すことで、氏のビジョンが見事に映像として定着された。これはまごう方なき“アニメーション映画監督”の仕事である」と、マンガ家としてのみならず監督としても評価。また「本作で新たに描かれた家族のドラマは、原作連載時から現在に至る間における、氏の作家的な深まりを感じさせるものでもあった」と称賛された。
また田村は「BASARA」「7SEEDS」「ミステリと言う勿れ」などのヒット作品を発表してきたことに触れられ、「日本の漫画界を代表する作家」と評価。「魅力あふれるキャラクターが繰り広げる重厚かつ壮大なストーリーを次々と生み出してきた氏は、2023年でデビュー40周年を迎えた。40年もの長期にわたって第一線で活躍し、常に新境地を開拓していくその手腕と功績に芸術選奨をもって敬意を表したい」と贈賞理由が述べられた。
アニメ「いきものさん」で知られ、今回新人賞に選ばれた和田については「和田淳氏のアニメーションは、我々の五感を刺激する。体毛の手触り、耳元で聞こえる息遣いと吐く息の匂い、滑るような肢体の柔らかさなど、この作品は我々が忘れかけていた感覚を呼び覚まし、それを味わう快感を思い起こさせてくれる。氏の作品が、奇抜な設定と個性的なビジュアルにも関わらず、広く世界中の人々の支持を集めている理由は、氏の高い作画技術とともに、これらの、人類に共通した感覚の核心を突いているからではないだろうか」とコメントされている。