2024年02月28日 18:41 弁護士ドットコム
「最近いつヤッた?俺は最近嫁とヤッていないんだ。やらせてくれる?」「お風呂上がりの写真送って」「普段、どんなセックスしているの?僕にもしてほしいな」。職場の上司や同僚からの性的な言動に悩む声が、弁護士ドットコムに複数寄せられている。
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発言は仕事中のこともあれば、業務時間外にメッセージが送られてきたり、飲み会の席で言われたりするそうだ。性的な言動が原因で心身の不調を訴える相談者もいる。会社内の人間関係が気になって「誰にも相談できない」との投稿も目立つ。
コンプライアンス遵守が言われて久しい令和の時代にも、まだまだセクハラはあるようで…
ある女性は、上司から送られてくる“卑猥”なLINEに4年間悩まされ続けているという。「裸の女性の画像やアダルト記事のURLのほか、上司本人の局部が写った半裸の画像が送られてきたこともある」とのことだ。上司は「泥酔していて覚えていない」と主張し、何度注意しても改善されないという。
別の女性は、既婚の男性上司から「第2夫人にしたい」「デートしたい」などと1年間言われている。ある日「仕事の物を届ける」と自宅にやってきた上司が突然抱きついてきて、泣きながら「妻と離婚したい」と打ち明けてきたという。「やっと入れた会社なので、嫌われたらクビになると思って相談できなかった。もう限界です」と吐露している。
業務時間外や休日に何度もLINEを送ってくる女性上司に困っている男性からの相談もあった。「ほかの同僚と話しているだけで『嫉妬した』とLINEがきます。執拗に食事の誘いもあり、なかなか断れません」。上司は20歳以上は年長の既婚者だという。
他にも、次のような投稿が寄せられている。
「50代の上司から『今度2人で温泉入って裸で語り合うのもいいかもね』『今日も可愛いね。顔写真送ってほしい』『思わずチューをしたくなった』などのメッセージが届きます」「取引先の人に『めちゃくちゃいい匂い。メスの匂いがする。仕事仲間じゃなくて女としてみてしまう』と言われました」「既婚の上司から業務中に『好き』『抱きたい』『下着姿の写真がほしい』などのメッセージが何度も送られてきます。『ED状態なんだ。助けて』と下半身を触らせようとしてきたこともありました」
このような言動は「セクハラ(セクシュアルハラスメント)」にあたるのだろうか。厚生労働省の「職場におけるハラスメント対策マニュアル」では、セクハラについて、次のように定義している。
「職場において行われる、『労働者』の意に反する『性的な言動』に対する労働者の対応によりその労働者が労働条件について不利益を受けたり、『性的な言動』により就業環境が害されること」
「性的な言動」には、性的な事実関係を尋ねること、食事やデートに執拗に誘うこと、わいせつな画像の送信なども含まれる。上司や同僚だけではなく、取引先もセクハラの加害者になりうる。
男女雇用機会均等法は会社に対してセクハラを防止する義務を課し、相談窓口を設けなければならないこととしている。会社には、労働者に対する安全配慮義務があるためだ。
【男女雇用機会均等法11条】事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
しかし、窓口があったとしても、職場への相談を躊躇う声もあがる。その場合は、相談先として労働基準監督署や法務省が管轄する「女性の人権ホットライン」などもある。場合によっては損害賠償請求が認められる可能性もあるため、弁護士に相談する人もいる。
弁護士ドットコムには、実際に損害賠償請求をされている男性からの相談も寄せられている。取引先の既婚女性に「男として見てほしい。やりたい」などと発言してしまったという。また、別の男性は、泥酔して部下に肉体関係を求めたといい「記憶がなく、ストレスが溜まっているのかもしれない。カウンセリングを受けたい」と投稿している。
加害者になれば、損害賠償だけではなく、自身の懲戒処分につながる可能性もある。既婚者であれば、さらに失うものは大きい。「冗談だった」「酔っていた」は通用しない令和の時代。自らを律する力が求められているのかもしれない。