アピチャッポン・ウィーラセタクンの個展『Solarium』が3月16日から日暮里・SCAI THE BATHHOUSEで開催される。同展では、ウィーラセタクンが幼少期に夢中になったホラー映画から着想を得た新作『Solarium』を展示。ガラスの両面に映し出される2チャンネル映像のインスタレーションで、片方のスクリーンには盲目の妻を救うために患者の眼球を盗んだ医師を描くタイ映画『The Hollow-eyed Ghost』を再現して暗闇の中で自身の眼球を探しさまよう男の姿が映し出され、もう片方には太陽の輝きや木漏れ日など光の暖かさを感じさせるイメージが映される。展示会場はスクリーンとして中央に置かれたガラスの構造体に反射して飛び交う光と音の運動と拡散によって構成。ウィーラセタクンは「亡霊は、映画監督のように、いつも光を体験するための装置を探しています。このタイトルは、この夢のような状態から逃れられず、自ら作り出した日光浴室(ソラリウム)に永遠に閉じ込められ、日の出の暖かな光を待ち望む亡霊を暗示しているのです」とコメントしている。さらにウィーラセタクンのドローイングを初めて一般公開。『Solarium』の映像シーンを彷彿とさせるモノクロームの水彩画シリーズや、ウィーラセタクンが制作過程で訪れた場所を記録した写真アーカイブを5部構成で編纂した立体作品『Boxes of Time』が展示される。