5か月後の2017年4月、クライスト病院を運営する医療法人「Care Point Health」から請求書がセイコさんのもとに届いた。請求書には、薬や血液検査から救急室での治療や手術に至るまで、100項目以上がリストアップされ、医療保険から支払われた600ドル(約10万円)を差し引いた224,587ドル(約3,370万円)が請求されていた。
のちにこの医療法人「Care Point Health」は運営する複数の病院で、セイコさんのケースのように、医療保険の補償範囲から外れる救急部門で高額な請求をするというビジネス手法で何年にもわたって収入を増やしていたことが明らかになった。そして、2019年には州当局の捜査の手が伸びたという。
手術から7年が経ち、セイコさんは今月15日に「Care Point Health」のマーケティング戦略本部長ジャスティン・ドリュー氏(Justin Drew)からのメールで請求が免除されたとの知らせを受け、晴れて巨額の医療負債から逃れることができたが、アメリカでは高額な医療費をめぐるニュースは後を絶たない。
「ユニークなのは医療費の請求の流れです。受診時にその場で請求され支払った分以外については、後日(受診内容によっては数か月後になることも)、保険会社から郵送で通知されます。そこには、医療機関から請求された医療費とそれに対する保険給付額を説明する記載があり、残金が『あなたの負担分かもしれません(You May Owe)』というあいまいな項目で表示されています。保険会社から来たこの手紙は、請求書ではなく給付の通知なので、後に医療機関から直接請求が来るまで支払いは不要です。ただなぜか、医療機関から残金の請求が来ない場合もよくあるようです。」
画像1、4~8枚目は『NorthJersey.com 「This NJ woman spent 6 years fighting a $225K hospital bill. Here’s how it ended.」(Courtesy Of Seiko Bando)』『MyCentralJersey Facebook「NJ woman was charged $225K for 3-day hospital stay.」』『FOX 5 Atlanta 「Woman billed $700 after sitting in ER waiting room for 7 hours, leaving without treatment」』『Midge X「Mole removal: $223 Crying: extra」』『New York Post 「Young girl’s snakebite leaves family with $142,938 medical bill」(Chris Bergin for KHN)』『TODAY 「Happily married couple considers divorce to pay for daughter’s health care costs」』より
(TechinsightJapan編集部 秋本神奈)