安東弘樹さんが電気自動車(EV)を購入した。エンジン搭載のマニュアル車が好きそうなイメージの安東さんが、EV購入を決めた理由とは? なぜ数あるEVの中からプジョー「e-208」を選んだのだろうか。本人に直接聞いてみた。
※文と写真はマイナビニュース編集部の藤田が担当しました
クルマで地球を35周した?
マイナビニュース編集部:EVを購入されたそうですね。なぜクルママニアの安東弘樹がEVを買ったのか、気になっている人もいると思うんですが……。
安東弘樹さん:プジョーの「e-208」を買いました。私は運転する距離が長いので、できるだけ環境負荷を抑えたいと思っているんです。なにせ、これまでに私は、クルマで地球を35周もしているので。
編集部:地球35周!? これまでに自分がクルマで走った距離をカウントしているんですか?
安東さん:珍しいかもしれませんけど、そうなんです。単純な話で、これまで自分が乗ってきたクルマが何台で、走行距離が何kmくらいの時に売ったかを掛け算してみたんです。ずいぶん前のデータで大体145万kmだったんですけど、地球は1周が約4万km。ですので35周くらい。現時点では40周に到達しているかもしれません。
編集部:途方もない距離ですね。
クルマで使う電気は自分で作る?
安東さん:私はクルマが好きなんで、まだまだ走ると思います。それであれば、自宅で作った電気で走りたいと考えました。
編集部:電気を作るとは?
安東さん:自宅の近くにガレージを建てたんですけど、そこに太陽光発電設備とEVの充電器を設置しました。寝泊りもできるガレージなんですがオール電化で、お風呂もエコキュートにしました。すべてを太陽光で発電した電気でまかなってます。
編集部:好きなクルマをとめておけるし、寝泊まりまでできるガレージですか……。なんか秘密基地といいますか、夢のようなお話ですね。
安東さん:息子が学生ですし、家族が朝早く起きることが多いんですね。私は神経質、というか敏感な方なので(笑)、そのタイミングで、起きなくていい日でも家族が起きると私も必ず目覚めてしまいます。そういうことがあるので、ガレージに泊まることも増えました。別に、別居しているわけではないですよ(笑)。
編集部:太陽光で発電した電気をEVに充電して走れば、環境負荷はかなり抑えられそうですね。
安東さん:運転する距離が長いことには、どこか引け目があったんです。クルマで走れば走るほど、環境負荷を与えるわけですからね。EVのいいところは、使うエネルギーを自分で選べるところです。
編集部:どうやって発電した電気を使うか。それも自分で決められるわけですね。
EVを充電しながら売電収入も得られる?
安東さん:作った電気は売電もしているんです。これだと、エアコンをつけて、クルマに充電もしてという生活をしていても、日照時間の長い夏場には月間2万円くらい、日照時間の短い冬場でも1万円くらいで電気を売っています。太陽光発電の設備を設置するのにけっこうお金がかかったんですが、このままいくと5年くらいでペイできる計算です。売電しているということは、電力会社の送電の負担を減らしているということ。EVで走ればガソリンの消費量(自分が消費する分)が減らせるので、クルマ好きな人(ガソリンを使いたい人)のお役にも立てると思うんですよ。
編集部:本来ならかかるはずのガソリン代が浮いたうえに、月々いくらかお金が入ってくるんですか。それはすごい! 発電設備の減価償却が終われば、純粋に電気を売ってお金をもらえる生活に入れるわけですね。
安東さん:長い目で見れば、環境負荷は少ないわ、お財布への負荷も少ないわという感じです。もちろん、10年以上先に太陽光パネルの保証(寿命)がきた後の処分の方法まで考えたら、完璧とは言えないかもしれませんけどね。
編集部:好きな運転をほとんど誰にも迷惑をかけずに楽しめるし、いいことばかりですね。仕事で通う都内まではご自宅から往復100kmくらいですよね? 電気だけで問題なく走り切れますか?
安東さん:そこは余裕です。無充電でもカタログの400km弱、は無理ですが、最悪でも250kmは走りますから。
編集部:ソーラー発電の電気で通勤すれば、本当の交通費ゼロ生活になりますね。EVの走りはどうですか? 物足りないことはないですか?
安東さん:長距離走行には向いていませんが、短~中距離であればEVの走行フィールは本当に気持ちがいいです。加減速時のアクセルレスポンスはエリーゼ並み、とまでは言いませんが、並のガソリン車よりいいですし、不満は全くありません。
編集部:EVには否定的なクルマ好きもいると聞きますが、何か反応はありましたか……?
安東さん:EVについては好きな人は好き、嫌いな人は嫌いで、真っ二つといいますか、真ん中の人がいない感じですよね。乗ってみると、気持ちいいんですけどね……。
「e-208」を選んだ理由は?
編集部:ところで、EVの選択肢はどんどん増えていると思いますが、なぜプジョーのe-208にしたんですか? カッコいいクルマですし、私としては大賛成のチョイスなんですけど。
安東さん:まず、軽自動車規格のEVを除いて、日本で買える乗用EVの中でサイズが一番小さいからです。
普段は東京都内で仕事をすることが多くて、テレビ局であればまだいいんですけど、外部のスタジオなどでは、大きなクルマだと駐車場にとめられないことがあるんです。その点、e-208であれば問題ありません。日産自動車のEV「リーフ」より全長は40cmも小さいですし、横幅も1,700mm台ですから、もう少しで5ナンバーというサイズ感なんです。使い勝手もいいし、威張った感じがない見た目ですし、良くも悪くも、ぱっと見でEVかどうかがわかりにくいデザインですよね。
それから、何と言ってもシートがいいんです! 本当に疲れにくいシートで、これは多くのジャーナリストも言ってますね。
編集部:小さいEVという意味では、フィアット「500e」という選択肢もあったんじゃないですか?
安東さん:500eを選ばなかった理由として決定的なのが、私はクルマに衣装のジャケットなどを積んで移動することが多いんですけど、500eだとハンガーをかけておくフックが小さくて、実質、衣装を掛けられないんです。
編集部:ご自身で検証済み?
安東さん:「500」で試したことがあるんですけど、500eも、その部分は同じ部品だったので。
編集部:それだと、仕事に向かうクルマとしては使い勝手がよくないですもんね。なるほど。
安東弘樹 あんどうひろき 1967年10月8日生まれ。神奈川県出身。2018年3月末にTBSを退社し、フリーアナウンサーとして活躍。これまでに40台以上を乗り継いだ“クルママニア”で、アナウンサーとして初めて日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。 この著者の記事一覧はこちら(安東弘樹)