バーレーン・インターナショナル・サーキットで2024年シーズンのF1プレシーズンテストが始まった。1月下旬より各チームによる新車発表が行われたが、カラーリングの公開のみにとどまったチームもあり、このテストでようやく全チームの新型マシンの実車を目にすることになる。今回は、スクーデリア・フェラーリの2024年型マシン『SF-24』を特集する。
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通称『バスタブ』型のサイドポンツーンに昨年のスペインGPで見切りをつけ、レッドブルが2022年から採用してきた通称『ダウンウォッシュ』型のサイドポンツーンに変更してきたフェラーリ。サイドポンツーン上面の黒い部分がダウンウォッシュを効果的に機能させるデザインになっている。また『バスタブ』型ではサイドポンツーン上面に熱を排気させるルーバーがあったが、『ダウンウォッシュ』型ではその部分は速度が高い空気を通したいため、ルーバーがエンジンカウル両脇に移動した。
『ダウンウォッシュ』型への変更に伴って、サイドポンツーン内の冷却システムも大幅に見直された。
ノーズの先端は昨年よりも幅が広くなった。フロントウイングのフラップもまた変更され、複雑だったアッパーフラップの2枚の上端の形状がシンプルになった。
フェラーリの新車『SF-24』の最大の特徴がヘイローの付け根両脇にあるウイングレットだろう。これはレッドブルのキャノンデッキ・インレット、メルセデスの合法ワイヤー・フロントウイングアッパーフラップに次ぐ、今シーズンここまでの3大空力デバイスと言っていいだろう。
インダクションポッドの入口の形状も変更された。インレットの下側がトレイのように前方へ伸び、サイドポンツーン下側のアンダーカットへの空気の流入を促進させている。ダウンウォッシュの最後端部分の勾配が大きくなり、リヤタイヤ前でフロアと接合させ、サイドポンツーンの下側後方の絞り込みを大きくして、ディフューザー効果を高めている。レッドブルやメルセデスが空力的に攻めてきたのに対して、フェラーリは全体的にオーソドックスなデザインとなっている。すでに成功したアイデアをうまくまとめているので、テストでもトップタイムをマークするなど、セットアップしやすい出来となっているようだ。