いつでも便利なコンビニだが、便利に慣れ過ぎたせいだろうか、びっくりするような要求で店員を困らせる客もいる。コンビニに10年以上勤める都内の40代女性も、客のワガママや理不尽なクレームに困惑することが多い。例えば数年前のこと。レジに60~70代くらいの高齢女性が現れ、こんなことを言ってきた。
「商品も持たずレジに来たと思ったら『これの使い方が分からないの!』とスマートフォンを差し出されました。ここは携帯ショップじゃないから!って、心の中で苦笑いしました」
その後どう対応したのだろう。女性は、キャリコネニュースの取材にいくつかのよくある事例とともに答えてくれた。すべて東京都内のコンビニでの出来事だ。
「『ちゃんと勉強しとけよ!』とか言われますが…」
ちなみに、スマホ操作に関しては「たとえ自社アプリの操作でも教えてはならず、お客様窓口をご案内する」とマニュアルで規定されているという。前述の女性客については、こう対応した。
「忙しい時間帯だったので、速やかに丁重にお断りしました。規則でお教えできませんし、まるで携帯ショップの窓口に来たかのような感じで驚きました。私は『お客様の契約している携帯会社はどちらですか?』と聞いて、そちらの窓口に行かれることをお勧めしました」
何も買わないのにレジにスマホ操作だけ聞きに来るとは驚きだが、「ATM操作やフリマアプリ、バーコード決済の登録など」の方法を聞いてくる客は多いという。しかし、こちらもやはり「たとえ店員が操作方法自体を知っていても教えてはいけない規則」があるそうだ。
「言葉を選びながら丁寧にお断りするものの、『不親切だ』と怒り出すお客さま。これは高齢者に限らず結構いらっしゃいます。なので、知らないフリが得策です。例えばPayPayは私自身やってないので、『申し訳ございません~私PayPayやってないので全く分からないです~すみません』といった具合です。たまにそれでも『ちゃんと勉強しとけよ!』とか言われますが、それはもう店員の仕事の範疇ではありません」
最終的には「たぶん画面下に問い合わせ窓口があるのでそちらに」と促すことになるのだが、答えられないことをいちいち聞かれるのもストレスだろう。
また、これも結構あるというのが「宅急便の配送日時指定」に関する無茶な要求だ。
「店員がレジ操作をして手配するのですが、レジで選択できない日時には指定できないシステムになっています。ところが、選択不能な日時で何とか発送しようと粘るお客さまは定期的に現れます」
「子どもに荷物送りたい感じだったり、ゴルフバッグだったり色々ですが、『〇日じゃないと困る!』『なんで〇日に着かないの?』『プレイ日に間に合わないじゃないか、どうするんだよ』等々……。どう言われても粘られても、レジ操作で選択出来ない日にちは無理です」
物理的に無理だから選択不能になっているのに、どうしても諦めない客は少なくないという。
「そんなときは宅急便の会社に電話し、ダメだと分かっているけれど聞いてみて、やはりダメだという結果を伝える、という流れです。お願いだから諦めてください……と思います」
「年中レシートを失くしては商品金額を尋ねる電話をしてくる」
そのほか、通常コンビニには求めない過剰サービスを要求する人も。
「デパートではないのに『何してるの、さっさと商品を出入口まで運んでちょうだい』と仰った、60代のマダム風のお客さまもいました」
「高額ってほどでもないですが、何かしらか数点買ってたと思います。私は『申し訳ございません、あいにく、たて込んでおりますので…お次のお客さまどうぞ!』で次のお客様のレジを促して終わらせました」
いつも至れり尽くせりの高級品店で買い物しているのだろうか。一方で「年中レシートを失くしては商品金額を尋ねる電話をしてくるお客さま」にも、困っているという。
「60~70代くらいの男性で、いまも年中かかってきます。家計簿をつけているみたいです。そんなことをお願いされても、購入した日時がだいたいでもわからない場合は膨大な中から購入履歴を探し出さなければならないのでかなり時間を取られます。あまりに頻繁なのでそういう類の問合せはお断りしていますが、ひと月に少なくて1~2度、週に2~3度のときもあります」
女性自身は「家計簿を付けないので、そこまでかっちり記録をつけることには驚嘆します」と語るが、「しかし、そんなにレシート落としてるとなると、もっと大切な物を色々落としたり損したりしていそうです」と心配していた。コンビニにはコピー機に忘れ物や財布の落とし物もあり、それらは店員が第一発見者となって適切に保管されるとも限らないので、気を付けてほしいとも注意し
「働いていると様々なお客さまがいらっしゃるなぁと思います。様々なお客さまがいて、色々な事が絶えないので飽きる事はありません」
とコンビニで働く楽しさを語った。