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清原惟監督『すべての夜を思いだす』に夏目知幸ら15人が応援コメント

2024年02月22日 20:10  CINRA.NET

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Text by CINRA編集部

映画『すべての夜を思いだす』に寄せた応援コメントが到着した。

清原惟監督による同作の舞台は、高度経済成長期と共に開発がはじまった多摩ニュータウン。春のある日、世代の違う3人の女性がそれぞれの理由で街を移動するなかで、街の記憶にふれ、知らない誰かのことを思いめぐらせるというあらすじだ。兵藤公美、大場みなみ、見上愛らが出演する。3月2日からユーロスペースほか全国で順次公開。

応援コメントは『aftersun/アフターサン』の撮影監督グレゴリー・オークや夏目知幸ら15人から到着。

渋谷・ユーロスペースでは初日の3月2日に監督、キャストによる初日舞台挨拶を開催。3月3日には『石がある』の太田達成監督と清原監督のトークイベントが開催される。

公開に合わせて、佐々木敦が主宰するHEADZからオリジナルサウンドトラックがリリース。音楽をジョンのサン、ASUNA、mado & supertotoes、ESVの4組が担当した。映画完成後もメンバーそれぞれが独自に物語に想像を馳せて制作が続けられ、映画に収めきれなかった楽曲を含む全40曲が収録される。アルバムの曲順は映画本編の時系列順になっている。

©2022 PFFパートナーズ(ぴあ、ホリプロ、日活)/一般社団法人PFF

©2022 PFFパートナーズ(ぴあ、ホリプロ、日活)/一般社団法人PFF

©2022 PFFパートナーズ(ぴあ、ホリプロ、日活)/一般社団法人PFF

【朝吹真理子のコメント】
人が忘れても道は覚えている。今日という日が、あらゆる時間につながっていると感じる映画でした。

【石原海のコメント】
忙しく生きていたらこぼれ落としてしまいそうな、ゆっくり生きてる人にだけ見える宝物みたいな瞬間が、ニュータウンという街を軸に星座みたいに散らばっている。私たち観客は、街を行き来する魅力的な登場人物たちに連れられて、その星座をひとつひとつ拾い集めることになる。

【井戸川射子のコメント】
緑と黄緑の何と美しい、膨らむ一面の木、形作られた道の草、土混ざる淡い芝生。
鳥の鳴き声、風の音、光と暗さが私たちにも迫る。その中に穏やかで不穏な彼女らの日常、得て失ってきた時間が流れる、それも私たちに迫る。

【ヴィヴィアン佐藤のコメント】
かつてそこにあった物たちが、出来事たちが、記憶たちが、誰にも語られることもなく、至る所に生ずる亀裂から噴出してくる。それらは過去や未来もなく、現在に同時に存在している。権力とは無縁の、小さな無名の記憶たちの救済。いまの日本だからこそ見えてくる風景だ。

【カゲヤマ気象台(円盤に乗る派)のコメント】
バスの車窓から見た景色のようにどこまでも横にずれていく。偶然の出来事が重なりながらどこにもつながらない。こういう中心を欠いた豊かな時間が、人生には確かに存在していると思った。

【金川晋吾のコメント】
魅力的なダンスシーンがある映画が好きなんですが本作はまさにそうです。ダンスシーンは映画の本筋には大体関係ないけれど、そもそも私たちが生きている時間には本筋なんてないですよね。この映画の時間の中にずっといたいと思いました。

【グレゴリー・オークのコメント】
ある一日の営みや喜びと悲しみ、偶然の出会いを通して、映画は見事に私たちを深い思索へと導いていく。いかに私たちの人生は予期しない形で進み、時間の中で関わり合い、その瞬間が積み重なって意味深いものになりうるか。いろいろなことを考えさせられる、そして静かに心に残る作品だ。サウンドトラックも素晴らしい!

【児玉美月のコメント】
街は見知らぬ人々の記憶の総和、視認不可能なあらゆる死と生が蠢く場所。
『すべての夜を思いだす』は、画面に漂流する言葉なき空気でそれを伝える稀有な映画だった。

【小森はるかのコメント】
なんでもないように見える特別な一日。
その日を乗り越えようとするあなたを、見知らぬ誰かが覚えていてくれるかもしれない。
気づいてくれた人がいたんだよ、とそんな眼差しで、すれ違う人同士が描かれていく。
だから、彼女たちが一人でいても、孤独ではない夜が訪れる。そして、この一日を見届ける私たちに、救われる思いがあることを教えてくれる。

【夏目知幸(Summer Eye)のコメント】
誰かに誘われたい気持ちと、一人でいたい気持ちの間にある感情にわれわれは名前をつけないまま、ないことにしている。
それを音楽にしようとするのがジョンのサンで、映画にしようとしたのが本作、ということかもしれない。
違ってもかまわん。傑作に変わりない。

【中澤日菜子のコメント】
心地のよい時間がながれている映画だ。
それぞれの目的を持つ三人の女性が、古くて新しい多摩ニュ―タウンのそこここにあらわれる。
まるでニュータウンの精霊のように――

【山下澄人のコメント】
画面に木や草がはみ出してくる。それはかつて人間に消されたもの。削られた山に建てられた団地でそれらだけが濃く、人間は薄い。このまま映画から人間が消えていくんじゃないかと思った。かつてこうして人間がいたんだよ、というとき見るのはこの映画のような風景かもしれない。

【山本浩貴(いぬのせなか座)のコメント】
人々はお互いを知らぬまますれ違い、見つめあい、想像しあう。そこには土地の歴史も死者も、観客であるこの私も巻き込まれる。私はこの映画の特に後半をかつてない動揺とともに見た。ここにすべてがあると感じた。

【米田知子のコメント】
引き込まれる空気感、美しく完璧に切り取られた絵、端々まで命が宿っている。
スクリーンに流れていく時間、何処かで見たかも知れない風景やシチュエーション。
ふと立ち止まり、日常ー"生きる"ということ、我々の物語に共鳴する。

【渡辺花(tamanaramen)のコメント】
あった事、あったかもしれない事、気づかないけど静かに交差している事、この感情を久しぶりに思い出した。