求人を見て面接に行ったら、どうも話か嚙み合わず、しまいには「別の職種の人が欲しい」と言われたら、どうすればいいのだろう。しかも面接官すらその間違いに気付いていなかったとしたら……。
山口県に住む50代の男性(エンジニア、機械・電気・電子・半導体・制御/年収500万円)は10年前、セールスエンジニアの求人に応募した。面接に行くと
「面接官、人事、総務の人が集まって、私の前で言い争いをし出した」
というから驚きだ。一体どういうことなのか。
「経験が少ない方ばかり面接に来られるのでちょっと困惑しているんですよ」
男性は42歳の夏、「長年住み慣れた四国から山口県の東部の小都市」に引っ越した。すぐにハローワーク経由で就活を始めたという。
「自宅から車で15分くらいのところにポンプのメーカーがあり、セールスエンジニアの募集をしていたので応募」
セールスエンジニアとは、自社製品やサービスの技術的な専門知識を持つ営業職のこと。男性は筆記試験に無事合格し、後日面接に臨んだ。ところが面接が始まると、やり取りに違和感を覚えることになる。
「現場での経験とか、資材や職人の調達方法、安全管理ばかり質問され、営業経験や提案手法を質問してこない」
というのだ。思わずこう聞き返した。
「『さっきから質問の内容を聞いていると施工管理の募集に聞こえますが』と聞き返したところ、『そうですよ、いやぁ実はあなたのように現場の経験が少ない方ばかり面接に来られるのでちょっと困惑しているんですよ』と言い出した」
なんと実際に募集していたのは「施工管理」、いわば工事の現場監督だったのだ。専門知識が必要なことは確かだが、営業職の意味合いが強いセールスエンジニアとはまったく違う仕事である。そこで再び、こう問い返した。
「ハローワークからの紹介状を面接官の前で広げ、『施工管理とセールスエンジニアは全く別のお仕事だと思うんですけど、この募集要項にはそのようなことには全く触れられていませんよね、どういうことですか』と聞き返すと、面接官、人事、総務の人が集まって、私の前で言い争いをし出した」
企業側も男性に指摘されるまで間違った求人を出していることに気づいていなかった、ということだろうか。しかしこの場合、男性に謝罪するのが先だろう。社内の混乱ぶりを目の前で見せられた男性は、呆れたように
「『もう結構です、履歴書、職務経歴書返してください、もう結構です』と言って帰ってきました。後日、ハローワークに行ってみると、募集内容が『施工管理』に替わっており大変あきれた会社でした」
と振り返った。
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