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中学生の息子が「高級時計」を所持、本人は「カバンに入っていた」と弁明 法的には?

2024年02月18日 08:10  弁護士ドットコム

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中学生の息子を納得させるために協力してほしいーー。そんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。


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ある日、相談者は、中学生の息子が見慣れない腕時計をしているのを見つけます。それを指摘すると、息子は「学校の部活が終わったらカバンに入っていた」と弁明したそうです。



相談者は「学校の先生か警察に届け出るべき」とたしなめたものの、息子は「盗ったものでも拾ったものでもないから届けなくていい」と拒否しました。



勝手に誰かがカバンに入れた物でも警察に届けないと犯罪になるのではないか。相談者はそう考え、息子自身に自分が犯した罪の重さを認め、反省させたいと弁護士に質問を寄せました。中学生の息子の行為は、法的にどのような問題があるのでしょうか。吉田要介弁護士に聞きました。



●息子の主張通りだとしても…占有離脱物横領罪が成立する可能性

——相談者の息子は「盗んだのではなく、(誰かが落とすなどして)カバンに入っていただけ。だから問題ない」と主張しているそうです



腕時計が本当にカバンに入っていたとしても、自分の所有物ではない以上、腕時計は「遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物」にあたります。それを自分のものとして使うことは「横領」にあたりますので、占有離脱物横領罪(刑法254条)が成立する可能性があります。



——息子の主張が嘘で、実際には盗んでいた場合には、中学生であっても刑事責任を問われることになるのでしょうか



誰かのものを盗んだのであれば、腕時計という「他人の財物」を「窃取」したといえ、窃盗罪(刑法235条)が成立する可能性があります。



相談者の子どもは中学生とのことです。法律では「14歳に満たない者の行為は、罰しない」(刑法41条)とされているので、14歳未満の場合には、占有離脱物横領罪や窃盗罪で処罰されることはありません。



ただし、触法少年(14歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年)として、警察に調査されて(少年法6条の2)、児童相談所に通告されたり(児童福祉法25条本文)、家庭裁判所の審判に付することが適当である場合には、児童相談所長に送致されます(少年法6条の6第1項1号2号)。



児童相談所は、児童またはその保護者に、訓戒を加えたり、誓約書を提出させたり、児童福祉司などの職員に指導させたり、里親に委託したり、児童自立支援施設に入所させたり、家庭裁判所の審判に付することが適当であると認める児童は、これを家庭裁判所に送致します(児童福祉法27条1項各号)。



家庭裁判所に送致された場合、少年鑑別所に収容されて2週間から4週間、観察指導を受けることがあり、その後、少年審判がおこなわれ、保護観察や少年院送致などの処分を受けることがあります。




【取材協力弁護士】
吉田 要介(よしだ・ようすけ)弁護士
千葉県弁護士会所属。日弁連子どもの権利委員会事務局次長、千葉県弁護士会刑事弁護センター委員。法律を「知らないこと」で不利益を被る人を少しでも減らすべく、刑事事件、少年事件、家事事件、一般民事事件等幅広く手がけ、活動している。
事務所名:ときわ綜合法律事務所
事務所URL:http://www.tokiwa-lawoffice.com