ゲームに登場する敵キャラというのは性格もデザインも千差万別。悪党もいれば立場が違うだけの大志ある人物もいる。モンスターもいればロボットもいる。ジャンルによって様々だ。
日本におけるゲームの敵として有名なものと言えば、これはもう『ドラゴンクエスト』のスライムがその筆頭だろう。愛嬌があって可愛いので、認知度も高い。いわゆる愛される敵キャラとしては、最有力と考えても間違いではないはず。
ではその逆はどうなんだろう。ゲームの敵として、もっとも畏怖され、敬遠されているものは一体どのキャラか。これについて僕は、ホラーゲームの敵が当てはまるのではないかと思っている。遭遇するのも嫌で、何なら攻撃しても倒せないような敵。あるいは物凄くデザインが醜悪で、倒せるとしても直視したくないような敵。
今回は古今あまたあるホラーゲームに登場した、印象的で怖いヤツの話をしていきたい。(文:松本ミゾレ)
「『クロックタワー3』のハンマー男。私は怖すぎてプレイできなかった」
なんでこんな話をいきなりするのかと言えば、それは先日ガールズちゃんねるに「ホラーゲームの怖かったクリーチャーについて語ろう」というトピックがあったからだ。ここには、色んなクリーチャーの名前が挙がっているんで、ちょっと紹介していきたい。
「『UNTIL DAWN -惨劇の山荘-』のウェンディゴ。めちゃくちゃ素早い上に捕まったら一撃で捻られるのが怖かったです。見た目も超怖い!」
「『バイオハザード リベレーションズ』のレイチェル」
「『サイレントヒル』の三角頭。明るくしたら全然怖くないんだけどね。あのゲームの雰囲気だとめちゃ怖い」
「『クロックタワー3』のハンマー男。私は怖すぎてプレイできなかったけど、妹がクリアしてくれた。私は横で叫ぶことしかできなかった」
無敵属性持ちでそもそも倒せないような奴とか、一撃死の攻撃を使うとか、デザインが気持ち悪い奴とか色々だ。個人的にはレイチェルは顔の造形が不気味過ぎて本当に直視したくないクリーチャーだった。
ハンマー男の名前も挙がっているけど、あの作品だと硫酸男の方が印象的で怖かった。この硫酸男の所業がもうエグくてエグくて。老いた母親とその母親を労わる奉公息子を、シャワーヘッドから出る硫酸を浴びせて悶死させるシーンは、本当に正視に耐えないものだった!
それだけに悪逆な硫酸男に引導を渡すシーンはスカッとするのだ。……ハンマー男も十分やばいんだけどね。
僕が二度と遭遇したくないクリーチャー第1位は、闇人です!
ちょっとここから、僕の思い出話をしていきたい。若い頃にホラーゲームにハマッていたことがあって、『零』とか続編の『紅い蝶』とか色々と遊んでいた時期がある。ホラーゲームって和風のじめじめした怖さのヤツと、アメリカ的なパニックホラーに大別されると思ってるんだけど、ここで言えば前者を好んでいたのかもしれない。今はどっちも楽しめるタイプになったが。
で、その若い頃の僕が特に夢中になっていたのが2006年リリースの『SIREN2』である。
力押しで進めることができない、ステルス行動が大前提の、こちら側が圧倒的に弱者として立ち回るこのゲームは、本当に怖くてたまらなかったんだけど、せっかく買ったので必死に遊んでいたわけだ。
立ちはだかる敵も基本無敵。まともに相手にしているとこっちがやられるだけな上にその数も多く、精神的にも疲弊を強いられるのが本作のクリーチャー。中でも極めて苦手だったのが、闇人乙式という奴だ。
闇人乙式は顔だけで1メートルぐらいあり、その顔にぶら下がるように小さな胴があり、その胴から細い手足を生やして、カサカサと四つん這いで移動する怪物。そしてこの胴には和風の布団のようなものを巻きつけていて、そんなのが向こうから走って来るわけだから初見では仰天してしまった!
作っていいデザインの怪物と、そうじゃない怪物がいるのだとしたら、コイツは完全に作っちゃダメなデザインの怪物。例によって倒すことは困難で、遭遇したら逃げの一手を採るのが最善。何より、デカい顔がいかにも弱点っぽいと思って勇気を出して攻撃するも、実は正面からの攻撃は通用しないというオチまでついている、見た目も性質も完璧にトラップのような敵なのであった。
まさに悪夢のようなゲームにふさわしい、悪夢に出るようなデザインのクリーチャー。闇人乙式を越えるデザインの化け物となると、ちょっと未だにホラーゲームでは見かけていないかなぁ……。