誰かに強烈に恨まれているときに災難に見舞われると、大昔は「呪いのせい」とされていた。現代では流石にそんな考えをする人は減ったが、あまりに絶妙なタイミングだと「これは〇〇の生き霊の仕業だ」となることがあるようだ。
愛知県の40代後半の女性は、15年前に起きた不思議な出来事を振り返る。当時「女性向け同人誌」を作り、年に6、7回は東京のイベントに出ていたという女性。「常に最後尾札を用意して、配置も常に配慮されていた」ほどの人気だったが、「粘着質という類のアンチ」に悩まされていた。そのなかでも強烈だった1人を「蛇女」と、女性と友人達は呼んでいた。(文:長田コウ)
掲示板に嘘の書き込みをしてアンチを増やす「蛇女」
女性は、「蛇女」に付き纏われるようになった理由について、「(蛇女が)仲良くなろうとしていた同人作家さんが、彼女(蛇女)には見向きもせず私と合同誌を作ったというのが気に入らなかったのでしょう」と推測する。
そんな「蛇女」は「陰でこそこそ、いわゆる2ちゃんねるに、ないこと99%の書き込みをして、アンチを増やそう」としていた。女性が無視していると、
「『早く鎮火しないと!』と、掲示板の内容とURLをコピペしたメールを送ってきました。匿名でも、誰がやっているのか丸わかりでした」
このように、どこまでも執着する姿に友人たちは蛇を重ね、「蛇のような粘着だ」と言い出したことから、あだ名が「蛇女」になったようだ。友人たちは「相手にしないのが一番効くのだから、無視を続ける」べきだとアドバイスした。
「なんだか猫が悪いものを追い払ってくれた気がした」
奇妙な現象が起きたのは、東京で行われる「ある大型イベントの前日」だった。女性は、急な熱で寝込んでしまった。翌日に迫るイベントを休むしかない、と思いながら横になっていた。そのときだ。
「飼っていた猫が顔の横にきて、天井の一角をまんじりともせず、ずっと睨みだしたのです。まばたきすらしない感じで。背中やお尻を撫でると、いつもならゴロゴロいって丸くなるのに、その日は無反応。いまそれどころじゃないとでも言っているかのようでした」
女性は「睡魔でうとうと」していたが、驚くことに「猫は明け方まで座ったまま」だった。夜明け頃に目を覚ました女性は、あることに気づく。
「つらかった体が嘘のように楽になっていました。なんだか猫が悪いものを追い払ってくれた気がして、抱き上げて撫でると、にゃ、と鳴いて丸くなりました」
体調が回復した女性はイベントに出掛けたが、家族によると「猫はその日夕方まで寝っぱなしだった」そう。女性を心配して寄り添っていたことで疲れたのだろうか。何と闘っていたのかは猫のみぞ知るだが、東京に向かう道中でも奇妙な事件が発生した。
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