“毒親”という言葉が使われて出して久しいが、まだそんな言葉が無かった頃から、親からの抑圧に苦しんだ人は大勢いるのだろう。千葉県に住む40代後半の女性もその一人だ。
中学生の頃はブラジャーを買ってもらえず、なんとか自分で入手したものの「こんなクソブラなんか買いやがって!」などと罵倒され、ミニトマトを身体中に投げつけられるという虐待をされた。
数年後に大学に進学し、「就職活動していた時」も酷かった。当時は就職氷河期でなかなか内定が出ず、4年の秋頃に母親から「周りはどんどん受かっているのにどうしてあんたは受からないの」と言われた。女性が「今は不景気でなかなか決まらない時代なんだよ」と答えると
「それはあんたが馬鹿だから受かんないんでしょ」
と信じられない暴言をぶつけられる始末だった。この母は、娘がやることなすこと気に入らない様子だった。
「内定が出ないのはそれだけあんたが社会から必要とされないから」
ほかにも、こんなことがあった。就活のために普通に化粧をしていると
「『顔ばっかり塗りたくりやがって!この面ブス!顔塗りたくっても仕方ねーだろ!』と怒鳴られました。それ以降も無視して普通に化粧していたら『顔ばっかり塗るのに命かけてる』とか言われました」
就活前から化粧はしていたが、「その時までは何も言われなかったのにいきなり言われたのです」と理不尽な罵倒がいまだに納得いかない様子だ。
結局、内定が出ないまま卒業した。就職浪人していると「あんたはボランティアしなかったから」等とあれこれ口出しされたという。極めつけはこんな暴言だ。
「これまで言われて一番傷ついたのは『内定が出ないのはそれだけあんたが社会から必要とされないから』と言われたことでした」
就活がうまくいかない原因は本人の問題以外にもいろいろな要素があるだろう。何社も受けて傷ついている人に、一番言ってはいけない一言ではないか。
「結婚式ぶち壊してやるからな」
また女性は当時、日雇いのアルバイトしながら就活していた。ある時は就職の事で口論になり、母親から
「週に2回しか働いていていないくせに偉そうにしやがって!」
と言われ、部屋のものを投げつけられたりした。女性が「平日は就職の面接や説明会、職安通ってるからなんだよ」と説明しても揉めるばかりだったという。
女性には「2つ上の兄」がいた。このときは「兄がやって来て仲裁してくれた」というが
「それでもダメでした。それ以降も何度か仲裁してくれたのですが案の定ダメでした」
「兄も大学卒業後、病気のことなどで就職が難しく無職だった時があったのですが、兄には何にも言わないのに怒りを感じました」
息子と娘では扱いに極端な差があったのだ。母親からチクチクと嫌みを言われているときに、女性が「だったらお兄ちゃんにも言ったらどうなの?」と反論すると、母親は「言ってるよ」と答えたというが「言ってる様子は全く見たことがありません」と憤然と書いている。それは兄も感じていたようだ。
「ある日、兄と母親のことで話していた際に『就活のことで言われたことある?』と聞いたら『俺は言われたことないよ。お前、結構言われてたよね。』と同情してくれました」
このときの母親に対する心境を「この大嘘つき!と殺意がわきました」と書いている。しかも母親の毒親ぶりは祝い事にまで及んでいた。
「結婚が決まった時も『結婚式ぶち壊してやるからな』等と言って嫌がらせされました」
娘の幸せを願うはずの親の言葉とは到底思えない。母親は、両家の顔合わせも結婚式も「日頃の行いが悪いから」と言って欠席したという。結果として
「父と兄が背中を押してくれたので何とか籍を入れて結婚式が滞りなく終わった時は心底ホッとしました」
ということだ。なんとか母親から距離を置くことができて何よりだ。
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