[caption id="attachment_226377" align="aligncenter" width="1533"] Image credit:Shezlong official website[/caption]Shezlongの創業メンバーの1人Ahmed Abu ElHaz氏は、エジプトのソフトウェアエンジニアだった。2014年にギザのピラミッド観光中に落馬し、片手が使えなくなるかもしれないと診断され失業。その後うつ病になったが、セラピストを見つけるうえで困難に直面したことからオンラインカウンセリングのアイデアが生まれたという。
[caption id="attachment_226382" align="aligncenter" width="1297"] Image credit:Labayh official website[/caption]ShezlongもLabayhも元エンジニアの男性が創業メンバーであり、身体的な負傷とその後の精神的ケアの必要性から創業に至ったという共通点が興味深い。
女性起業家たちも活躍している。アラビア語で「手助け」を意味するAyadiはクウェートで2020年に創業された。創業者のLatifah Al Essa氏は認知心理学者として10年以上のキャリアを持つ人物。セラピストとしての視点とケアを必要とする個人の視点を兼ね備えるという強みがある。彼女の祖父がアルツハイマーを発症した際、セラピストを見つけるのが非常に困難だったことが起業のきっかけとなったようだ。
[caption id="attachment_226390" align="aligncenter" width="1473"] Image credit:Ayadi official website[/caption]UAEアブダビを拠点とするTakalamも、同じく2020年に2人の女性Khawla Hammad氏とInas Abu Shashieh氏によって設立された。Hammad氏は起業理由について個人的な体験を挙げている。創業者2人は政府機関や民間企業で確固たる実績をあげる一方で、ともに抑うつ症状や不安に悩まされていた。だが地理的制限や文化的偏見などのハードルがあり、プロフェッショナルなケアに気軽にアクセスすることができなかったという。「Takalam」とはアラビア語で「話す」の意味だ。
[caption id="attachment_226398" align="aligncenter" width="1253"] Image credit:Takalam official website[/caption]Takalam社は、アブダビ保健省とPlug and Playがコラボ開催したプログラムへの参加を初期のマイルストーンとし、アブダビ投資庁やUAEグローバルテックハブ機関「Hub71」からの支援によって成長を果たしている。
アラブ社会の文化への理解度を重視しながら古い偏見を打破へいずれのサービスもテキストメッセージやチャット、音声通話、ビデオ会議などでカウンセリングを提供するものだ。正式な資格を有する登録セラピストやカウンセラー、複数の言語対応、匿名状態での面談、AI活用などを共通の特徴とする。各社ともMENAに残るメンタルイルネスへの偏見の打破を使命に掲げ、意識向上のためのコンテンツ制作やキャンペーンなどで政府の関連省庁や同業企業と協力している。
多数の競合他社でにぎわうこの分野に新規参入するSukooni社。UAEの基準だけでなく米国のHIPAA(Health Insurance Portability and Accountability)やEU一般データ保護規則(General Data Protection Regulation)などへの対応を視野に入れている。セキュリティを強化することで、ユーザーとカウンセラー双方にプライバシーが確実に守られる環境を提供したいと語っている。果たして他社との差別化に成功するだろうか。