面接で突拍子もない質問をされて、戸惑った経験のある人は少なくないようだ。しかし質問の意図がわからなくても、必死で答える人がほとんどではないだろうか。
岩手県に住む50代前半の男性(専業主夫/年収100万円未満)は、4年前の春に受けた「ある社会福祉法人の面接」を振り返った。大きな会議室に入ると、4人の男性面接官が待っていた。
始めに「自己紹介をしてください」と言われ答えた男性。ここまでは面接でよくある光景だが、このあと「今でも意味不明だったなと思える」という奇妙な質問を投げかけられた。面接官はこう言った。
「君がいた大学では学生運動はありましたか?」
「頭が真っ白になっていました」
男性は「大学生のときはちょうど平成になったばかりで、学生運動なんて見る影もない時代」だったと振り返る。学生運動が激しかったのは1960、70年代だが、面接官は勘違いしていたのだろうか。当然、男性は「(学生運動は)ありませんでしたが…」と答えると、今度は別の面接官が質問してきた。
「平成という時代は終わりました。あなたにとって平成とはどういう時代でしたか?」
立て続けに不可解な質問をされた男性は、「一体この人たちは何を聞きたいのだろうか、といささか不安になりました」とこぼす。しかし、そんな本音を隠して次のように答えた。
「平成では、大きな災害、そして事件がありました。ひとつは、阪神淡路大震災、もうひとつは東日本大震災。そして地下鉄サリン事件。阪神淡路大震災を通じてボランティアが一気に全国的に広まり、NPO法人が増えました。また地下鉄サリン事件なども、日本は安全な国だと信じられてきた神話が一気に崩れたような気がします。同時に、人と人とがつながり、支え合うことの大切さも気付かされた、平成にはそんな印象をもっています」
次に面接官の口から出たのは「あなたの長所と短所を言ってください」というありきたりな質問だった。そのあと「これで面接は終わります。どうぞお帰りになってください」と廊下に出された男性は、「頭が真っ白になっていました」と明かした。それもそのはずだ。
「仕事の内容は一言も説明していない。そして、こちらの質問の時間が与えられなかったことで、一体、僕は何をしに来たのだろうと、不安になりながら帰った」
ちなみに男性が応募したのは、「地域づくり推進員という、町内会、自治会と連携して地域づくりを推進する仕事」で、聞きたいことはたくさんあっただろう。
釈然としない男性だったが、面接から3日後に採用通知が届く。面接で仕事内容の説明はなく、突拍子もない質問に不安を覚えたものの、男性は入社した。ところが……
「いろいろあって1年で退職しました」
退職理由は書かれていないが、読者からのこうした投稿を見ると、面接時点で不安を覚えた会社に入社しても、早期に辞める傾向があるように思う。
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