2024年02月04日 09:31 弁護士ドットコム
同居する義母とのストレスから適応障害になり、離婚することを決めた女性が弁護士ドットコムに相談を寄せました。
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相談者がストレスに感じていたのは、義母の次のような行動でした。
・勝手に部屋に入り、掃除する
・相談なく部屋の模様替えをする(家具等義母の好みで買い揃える)
・隠していた通帳を勝手に見、近しい人に「うちの嫁は貯金ができない」と触れ回る
最初は「義母から離れられたらそれだけで十分と考えていた」という相談者ですが、結婚生活を壊す原因となった義母だけが、何の傷も負わないことに納得しない気持ちが芽生えてきました。
そこで「義母の行為はプライバシーの侵害にあたりますか?」と質問を寄せました。森本明宏弁護士に聞きました。
——義母の行動はプライバシー侵害に該当するのでしょうか
プライバシー権とは、個人情報や私生活に関することなど他人に知られたくない事柄をみだりに他人に知らされたり、公開されたりしない権利をいいます。
自分の部屋の中の様子や通帳の中身(残高や入出金の履歴)に関することは、個人情報や私生活に関することとして、他人には知られたくない事柄です。
したがって、義母による行動は、いずれも他人に知られたくない事柄をみだりに覗き見したり、他人に知らせたりする行為にあたりますので、プライバシー権の侵害に該当すると言えます。
——プライバシー侵害、あるいは適応障害の原因となった義母に対して、慰謝料などを求めることはできるのでしょうか
義母のプライバシー侵害の行動により精神的苦痛を受け、その結果、適応障害になったということであれば、民法709条に基づき、義母に対して慰謝料や治療費の支払を求めることは可能です。
——適応障害になった理由の1つに、夫が適切な対応(別居など)をとらなかったことがあれば、夫に対しても慰謝料を求めることはできるのでしょうか
民法752条は「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」と定めており、夫婦間には婚姻生活を送っていくうえで協力し合わないといけないという協力義務が課せられています。
したがって、義母のプライバシー侵害行為について、夫に日頃からその悩みを打ち明け、義母にそのような行為を注意してもらうなど求めていたにもかかわらず、夫がこれを取り合わず、夫婦の協力義務の一環として適切な対応を取らなかったということになれば、夫に対しても慰謝料を請求できる余地があります。
【取材協力弁護士】
森本 明宏(もりもと・あきひろ)弁護士
愛媛弁護士会所属(2002年弁護士登録)。2010~2011年度、愛媛弁護士会副会長。2020年度、愛媛弁護士会会長。日本スポーツ法学会会員。
事務所名:四季法律事務所
事務所URL:http://www.shiki-law.com/