世の中には、自分のことをパチプロやスロプロと名乗る人が少数ながら存在する。プロと嘯いてこそいるが、別にあんなものは仕事でもないし、大抵はいくら勝っても確定申告もしない。
昔はこういうプロを名乗る者も多くいた。20年、30年ぐらい前の、まだ今よりも少しだけ射幸性が高い機種が存在していた頃には、実際に遊技機を前に1日中粘って勝つプロもいたのだ。恐らく今もそういう人は生き残っているが、まさしくもう化石みたいにレアになりつつある。
プロが減った理由は、ほとんど一つ。もはや普通に働いた方がお金になるからである。昔と違って今はそんなに美味しい台もないし、そんなものがあっても、インターネットが普及したことでみんながその美味しい台を認識して立ち回る。
いわば全員が昔で言うセミプロレベル。ある程度の知識を有していることが前提みたいな状態になっているわけで、そういった状況下では一人だけ抜け駆けして大勝ってのも難しくなっているのだ。だから今のご時世にプロになりたがる人は普通ではない。(文:松本ミゾレ)
早くも1月の収支はマイナス25万円
先日、5ちゃんねるに「100万貯めたので仕事辞めてスロプロに転生した」というスレッドが立っていた。何が転生だよ(笑)。スレ主は文字通り、100万貯めて仕事を辞めた。で、手元には100万あるという。
僕はてっきり、本当はもっと多くの貯蓄があって、それとは別に用意した100万でこれからスロプロとしてやっていくのだと勘違いしていた。だって、100万が全財産って少なすぎるでしょう?
ところが実際はさにあらず。彼は本当にガチでたった100万ぽっちしか金がないのに、仕事を辞めてパチンコ屋に通うようになったのだ。文字にすると本当にヤバい状況だということが分かるでしょ? 娯楽を本業にする時点で相当アレなのに、たった100万しか用意してない。ダメダメ。足りない足りない。せめてこの5倍はないと専業ごっこ気分なんて2年も持たないよ。
彼がスロプロになったと思い込んだのが昨年の11月。なるほど、初月は20万のプラスだったようだ。12月はプラス13万。勝ててはいるが、専業としての成果と考えるとマジで足りない。
こんなんじゃ贅沢できないでしょう……。スレッドでは「プロなら毎月40万はプラスじゃないと」という意見もある。僕はスロプロになったことはないので分からないけれど、もう働いてないわけだし、やっぱりそのぐらいは毎月勝てないと不安になるだろうなぁ。
そして1月26日にスレッドを立てた時点では、1月の収支がマイナス25万を突破しているという。「なにこれ」と書き込んでいるが、そりゃそういうこともあるだろう。ずっと期待値を追い続けても下振れするのがギャンブルだし、そういうこともあるからこそ、軍資金はもっと多く用意しないとダメなのだ。
たかだか100万貯めた程度で仕事を辞めるというのは、ちょっとギャンブル依存著しい僕ですら引いてしまう事態である。コイツそうとうやべえぞ……。
そもそも年間の家賃に光熱費、保険料に税金諸々どのぐらいかかるか計算したら、そこから軍資金なんて普通残らないって気付くよね? 彼にしてみれば「勝てばよかろう」って話なんだろうけど、3ヶ月スパンですらこの有様なのはちょっとマジで危険水域ではないかと。
現時点で既にスレ主は「やべえよ収支はマイナスじゃないけど生活費分減ってくよ残金70万。胃がキリキリする」と焦燥感に苛まれている。
生きているだけで金が減るのは当たり前なのに、この3ヶ月の間彼はどうしてこんなことに気付かなかったのだろう。ギャンブルはいつでも出来るわけだし、そもそも仕事を辞める必要なんかなかったはずなのに……。
さらに「支払いもあるからここから10万くらい減るし…」とも書き込んでいる。完全にジリ貧だ。今の時点で、もうスロプロ生活は破綻しているということに気付いてもしかるべき。ところがスレ主はそういった簡単に予測できる未来から目を背けている。
「くそが何か月50万とか勝ってるやついるじゃん何で俺は負けるんだよ」とか「俺もそんくらい勝てるはずだ」とか。
繰り返しになるが100じゃ少ねえ! 勝てる勝てないの前に彼の場合は軍資金があまりに乏しいので、先細りが見えているのである。
勝てないスレ主を諭す人も出てくるが聞く耳持たず
もちろん、スレッドにはこのドン詰まり状態のスレ主を優しく諭す人もいる。たとえばスレ主が「俺でも勝てるはずだ」と書き込むと、
「その根拠は? 宝くじ一枚だけ買って高額当選してる人もいるから、俺も一枚だけ買えば当たるはずだ。竹やぶに一億円入ってるバッグがあったんだから、俺も竹やぶに入れば一億入ったバッグ見付けられるはずだ。って言ってるようなもんだぞ」
と説得する声も。ここまで言われれば僕みたいな人間ですら「あ、そうだな」と理解できるはずだ。
しかしスレ主は「そんな奇跡みたいな確率の話じゃないだろ? スロットで勝つってのは」と反論。実際もう3ヶ月このような生活を送り、既に最初に用意している予算の3割が消失しているのに、この反論である。ちょっとどういう了見なのか本気で分からない。
とにかくこのスロプロ気取り君、なかなかに真っ当な指摘に対しても反発しっぱなしで本当に会話にならない。終いには「さて、俺が勝つ作戦を考えろ」と言う始末。自分が勝つための算段も考えられない人は、もうただのパチスロファンなんだよね。
彼が何故仕事を辞めたのか。そして何故、たった100万程度しか貯蓄していないのに「家賃とかの支払もあるけど行けるっしょ」と思ったのかは知らないけど、こんなのがプロ気取りできるんだから、俯瞰で考えればそれだけ今はもうパチンコ・パチスロのユーザーにプロも激減したってことなんだろうね。