2024年01月27日 08:21 弁護士ドットコム
結婚している身でありながら“禁断の恋”に走ってしまったーー。弁護士ドットコムには、このような既婚者から「配偶者と離婚したい」との相談が複数寄せられている。
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不貞行為をすれば「有責配偶者」として扱われる。相手が受け入れないかぎりは、自分の都合を押し通して別れるのは難しい。
しかし、不倫をした側にも「妻(夫)にシカトされた」「こちらも浮気されたことがある」などの言い分があるようだ。なぜ、許されぬ関係にハマってしまったのか。
相談を寄せたある子持ちの女性は、16年連れ添った夫との離婚を考えているという。
「夫は亭主関白で、子どもと私に常に命令口調でした。『飯がまずい』『子どもの成績が悪いのはおまえのせい』などと怒鳴られ、萎縮する日々でした」
そんな中、勤務先の同僚と肉体関係を持ち、そのまま2年間交際を続けたという。夫は不倫に気づいた後も「離婚しない」の一点張りだそうだ。
ある男性は「浮気がバレたことを機に妻に離婚を切り出したが、応じてもらえない」と相談している。「私は子どもがほしいのですが、妻にはその気がないようです。セックスレスになって愛情もなくなりました」と綴る。
この男性は「結婚したからには、我慢しなければ」と思い、妻との冷えた生活を5年間続けてきたという。ところが、ある女性と恋に落ち、不倫の深みにハマってしまったそうだ。
「目には目を、歯には歯を」のごとく「不倫には不倫を」と考える人もいるようだ。思わぬ形の「倍返し」に戸惑っているケースもみられる。
ある相談者の男性は、妻が第一子妊娠中に独身女性との不倫に溺れた。みつかってからは心を入れ替え、ほかの女性に手を出すことはなかった。家を買い、第二子も生まれ、順風満帆な家庭を再構築できていると思っていたそうだ。
ところが、第二子出産から約10年経過し、衝撃の事実を知ったという。
「妻が7年にわたって他の男性と不倫していました。証拠の写真や日記などがあります。問い詰めたところ、妻は開き直り、出ていくと言っています。先に有責配偶者になった私は、妻の要求に応じなければならないのでしょうか」
別の男性も同じように不倫に走り、怒り狂った妻に殴る・蹴るなどの暴力を振るわれたという。改心して3年、円満な夫婦関係に戻ったと信じていた矢先に「妻が職場の上司と浮気していることがわかりました。『優しくて頼りがいがある人』だそうです」。
民法で離婚原因として定められている不貞行為をすれば、有責配偶者となる。ただし、夫婦で話し合って合意を得られれば、離婚することはできる。
配偶者に納得してもらえずに裁判で争うとなれば、話は変わる。不貞行為をした側からの離婚請求はハードルが高く、簡単には認められない現状がある。時効が成立して「昔の不倫はチャラになる」ということもない。
過去の裁判例では、有責配偶者からの離婚請求が認められるには、(1)別居が長期間にわたっていること、(2)未成熟の子がいないこと、(3)離婚によって配偶者の一方が離婚によって極めて厳しい状況におかれないこと、のすべてを満たす必要があるとされている。
夫婦ともに不貞行為をした場合は、双方ともに有責配偶者となる。この場合は、どちらが先に不倫に走ったのかではなく、どちらにより落ち度があったのかが問われることになる。ただし、不貞行為があった後に夫婦関係が修復したとみなされる状況があった場合などは、過去の有責性を問えない可能性も考えられる。
離婚できるか否かはそれぞれのケースによるだろう。不倫に走った側の言い分もあるかもしれないが、その代償は少なくない。