2024年01月26日 10:11 弁護士ドットコム
性風俗サービスを定期的に利用する夫に悩まされ、離婚を決意したという女性から弁護士ドットコムに相談が寄せられた。
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女性によると、夫は出張中にデリヘルを呼んだり、仕事帰りに風俗通いをしていたという。一度は許したものの、発覚から半年後に夫が風俗店のサイトを見ていることがわかったことで、離婚を決意したそうだ。
「平日はほぼ1人での育児で本当に大変でした。激務だと思っていた夫がそのような事をしていた事がどうしても許せません」
今回のように「夫の風俗通いを理由として離婚できるのでしょうか」という相談は複数届いている。大和幸四郎弁護士に聞いた。
ーー性風俗店のサービスを受けることは離婚の理由になるのでしょうか
まず、性風俗店のサービスを受けることが、「不貞行為」(民法770条1項1号)にあたるのかが問題となります。ここでいう「不貞行為」とは、自由意思に基づいて、配偶者以外と性交渉することです。
この点、風俗に通う男性の言い分として「風俗なら浮気ではない」と主張する人もいます。
ここで問題になってくるのが、「性交渉」があったのか否かです。性的行為はあったが性交渉や性交類似行為がない場合には、不貞行為とまでは言えないと考えられます。しかし、性交渉のあった場合には不貞行為に該当するでしょう。
なお、性交渉がない風俗店の利用であっても、そのことが原因で夫婦関係が悪化したような場合には、民法770条1項5号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当するとして離婚が認められる可能性があります。
また、妻が一度許したにも関わらず、それから半年後に風俗サイトを見ていること自体が夫婦間の関係が冷え切っている、というよりも「凍結」させていると評価できます。このことも民法770条1項5号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」として認められると考えます。
不貞行為は、不法行為(民法709条)にあたり、妻は夫に対して慰謝料を請求することができます。
今回のケースは、2年間も風俗通いをしていたこと、平日はほぼ1人の育児で妻が本当に大変であったこと、一度許された後、半年後にまた夫が風俗店のサイトを見ていることが発覚しているなどの事情から、離婚に至った場合は200万円以上請求することが可能と思います。
せっかく妻が一度は許してくれたのですから、夫は妻を裏切るようなことはしてはいけないと思います。
【取材協力弁護士】
大和 幸四郎(やまと・こうしろう)弁護士
佐賀県弁護士会。2010年4月~2012年3月、佐賀県弁護士会・元消費者問題対策委員会委員長。元佐賀大学客員教授。法律研究者、人権活動家。借金問題、相続・刑事・男女問題など実績多数。
事務所名:武雄法律事務所
事務所URL:http://www.takeohouritu.jp/