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障害者中傷の投稿者を刑事告発、「こんな社会的処理困難物は無い」民事裁判の答弁書で侮辱した疑い

2024年01月25日 14:01  弁護士ドットコム

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ネット掲示板に「殺処分でいいやん」などと書き込まれた重度障害がある40代男性が、都内の投稿者を昨年12月18日付で、名誉毀損や侮辱の疑いで刑事告訴していたことがわかった。


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刑事告訴に先立って、男性はこの投稿者を相手取り、損害賠償を求めて民事裁判を起こし、前橋地裁が昨年12月8日、約96万円の支払いを命じていた。



刑事告訴まで至ったのは、この投稿者が民事裁判で、男性について「こんな社会的処理困難物は無い」などと記載した答弁書を提出したからだった。(ニュース編集部・塚田賢慎)



●「障害者差別のヘイトスピーチ」と示された意義

骨が変形する病気「脊椎骨端異形成症」の男性が、居住先の群馬県前橋市に24時間体制の介護サービスを求める義務付け訴訟を起こしたことをめぐり、ネット上で誹謗中傷が相次いでいた。



こうした状況の下、男性は「生かしておく理由が無いなあ 一思いに殺してやれよ」とネット掲示板に書いた愛知県在住の投稿者に対しても、損害賠償を求める民事裁判を起こし、前橋地裁が1月24日、計60万円の支払いを命じる判決を言い渡した。



1月24日の判決文によると、前橋地裁の田中芳樹裁判長は、問題の書き込みが男性に対する「侮辱」だと認定。短文で、投稿回数が1回だとしても「障害者を差別するヘイトスピーチに該当する」と判断して、慰謝料50万円とした。



男性の代理人をつとめる下山順弁護士は「原告(男性)が生存する意義を完全に否定する内容の本件投稿について 『障害者を差別するヘイトスピーチに該当する』と認定したことには大きな意義がある」と評価した。



さらに、下山弁護士は、これまで「障害者を差別するヘイトスピーチ」という言葉を使用した判決はなかったのではないかといい、50万円の慰謝料も高額と受け止めている。



「一連の判決により、『障害者を差別するヘイトスピーチ』を行うと、短文でも1回でも厳しい民事責任が問われるということが明らかにできたと考えております」(下山弁護士)



●いまだに賠償金の支払いがされていない

愛知県の男性からはすでに謝罪とともに、賠償金の支払いについての考えも受けている一方で、「殺処分でいいやん」と書いた投稿者からは、いまだに判決で命じられた賠償金の支払いがされていないという。



下山弁護士によると、2023年12月18日付で、名誉毀損と侮辱の疑いで、群馬県警前橋署に刑事告訴した。



民事でも侮辱が認められた「殺処分でいいやん」という投稿は、告訴期間を理由に問題としておらず、今回、罪を問おうとしているのは、民事裁判の中で提出された「答弁書」の中にある記載だ。



●民事裁判の答弁書に「こんな社会的処理困難物は無い」

告訴状によると、投稿者は23年6月28日、前橋地裁の第1回口頭弁論で、「原告の頭は完全にねじくれてる」「障害者側からも迷惑な存在」「地球の隅々まで探してもこんな社会的処理困難物は無い」「お箸の1本やインクの出ないボールペンの方がまだマシ」などと記載した答弁書を擬制陳述し、公然と事実を示して名誉を傷つけ、侮辱したとされる。



さらに、この投稿者によるものとみられるX(旧Twitter)のアカウントでも、判決文や答弁書を投稿しているという。



賠償金を支払う意思も感じられず、反省の態度もみられない投稿者に対して、男性は、厳しい処罰を求めたいと考えて、刑事告訴に踏み切ったという。なお、民事の判決でも、この答弁書の記載は「侮辱する表現」だと指摘されている。