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離婚後の「共同親権」導入、弁護士423人が反対 「百害あって一利なし」「現場が混乱し、子どものためにならない」

2024年01月24日 16:30  弁護士ドットコム

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離婚した父母双方が親権をもつ共同親権導入をめぐり、法制審議会(家族法制部会)で議論が進んでいる。共同親権を選択できるとする要綱案が、早ければ今月末にも取りまとめられる可能性がある中、弁護士の有志団体は、同省に対し「実態を無視して拙速に導入を進めないでください」として申し入れをおこなった。1月23日付で郵送した。


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有志団体「共同親権の問題について正しく知ってもらいたい弁護士の会」は、「原則共同親権とも誤解されうる」と主張し、「国民の行為規範としては極めて不適切であり、誤導により現場を混乱させることは明白」と批判する。会のメンバーである岡村晴美弁護士によると、申し入れには、呼びかけ人・賛同者計423人(1月24日時点)の弁護士が参加した。



1月24日に開かれた会見で、岡村弁護士は「(要綱案は)実務家としては承服しがたく、DVや虐待の被害者も守れません。(このまま進めば)現場は混乱し、紛争が増えて長引く事態になる。それに巻き込まれる子どものためにならないと大変危惧している」と訴えた。



●「法務省は現場の声をすべて無視」

有志団体は2023年8月にも、「合意型共同親権でも、DV・虐待・父母の葛藤が激しいケースが紛れ込む危険がある」「非合意型強制共同親権は、子どもを危険にさらすリスクが高まる」などの要望・懸念を伝える申し入れを法務省におこなっている。



申入書では、2023年10月には、家事事件をメインに扱う弁護士有志から具体的な事案に関する検討が不十分であるという意見が法制審議会宛に提出され、同年11月には札幌弁護士会が共同親権制度に反対する意見書を発出していることを挙げ、次のように法務省の対応を批判する。



「実務に関わる弁護士から強い懸念が相次いで示されているにもかかわらず、法務省は、こうした現場の声をすべて無視し、パブコメで集まった当事者の切実な声も明らかにしないまま、原則共同親権とも誤解されうる要綱案を法制審議会に提出しました。多くの国民の行為規範としては極めて不適切であり、誤導により現場を混乱させることは明白です」



さらに、要綱案が可決され、法改正がおこなわれた場合に起きうる事態についても言及する。



「要綱案が、同居中の共同親権にも適用されれば、急迫の事情がなければ子連れ別居が違法とされるように誤解され、支援の現場を萎縮させ、DVや虐待の被害者の避難が困難となり、ただでさえ他国に比べてDVや虐待に対する保護法制や社会的システムが劣る日本において、極めて深刻な事態をもたらします」



児童精神科の医師を中心とした医療関係者や、DV被害者支援者らからも、共同親権制度の導入に関して、反対の意見があがっているとして、「慎重に法制度の改正について議論するという、法制審議会の設置意義を没却するといわざるを得ません」とし、拙速な法改正をすることがないよう訴えた。



●現場の声は…「百害あって一利なし」

有志グループの元には、次のようなコメントが多数寄せられたという。



・共同親権を導入すれば、DVなどのない「普通の離婚」の場合でも、様々な局面での不可避的な停滞(子どもの進学や入院・手術などが共同親権者の一方が同意しないためにスムーズに進められない)が多発し、問題化する。現在の親権者争いと同様のシビアな争いが、今度は監護権者争いという位相を異にした舞台で続いていくだけになるのではないでしょうか。共同親権者の制度は、まさに「百害あって一利なし」であるとの結論に至らざるを得ない・実務家、DV 被害者の意見をよく聞いてください。実情を軽視した法制度は当事者を苦しめます・児相の嘱託弁護士をしている者です。児童虐待を扱う現場でも、共同親権の導入には、子供を守ることが困難になるとの懸念が持たれています・DV 事件を扱った経験から、離婚後の共同親権は、離婚後にも紛争を引きずり、子どもが板挟みとなり、子どもの福祉に反する結果になるので、反対です・夫婦関係が破綻し、離婚する夫婦が、「共同」で親権を行使できるはずもありません。離婚後共同親権派、横暴な夫が、離婚後も、妻を支配する道具になります・児童相談所勤務です。親権を盾にして、子どもの人権を踏みにじる親をたくさん見てきました。両親の離婚によっても虐待親の親権から逃れられないなんて、子どもはどうすればいいのですか? 共同親権に強く反対します・夫婦関係さえ維持できなかった関係で、共同審権を円滑に行使できるはずがありません。それを原則とするのはおよそ実態を知らない人たちの誤った「善意」です