Text by CINRA編集部
ポップアップ展『#ワタシはおそれている展』が2月9日から2月12日にかけて東京・澁谷藝術にて開催される。
同展は2月16日にアリ・アスター監督の映画『ボーはおそれている』が公開されることを記念したもの。『ミッドサマー』『ボーはおそれている』の公式ポスターを手がける画家のヒグチユウコ、グラフィックデザイナーの大島依提亜によるポスターが展示されるほか、「未体験の『恐れ』を味わう旅に出よう」というテーマのもと、会場に訪れることで作品づくりに関わることができる参加型企画が楽しめる。入場無料。
また「#○○はおそれている」というお題をうけて、とんだ林蘭と岸裕真が今回のポップアップ展のために新作アート作品を制作。
コラージュ、イラスト、ぺインティング、立体、映像など、幅広い手法を用いて作品を制作するとんだ林は、立体作品の展示を予定。アリ・アスター監督の映画作品に影響を受けていたという岸は、AIを用いて描いた聖母子像を中心とする小規模な演劇的インスタレーションを展示する。
参加型の展示として、参加者が映画の世界の中に入り込めるような仕掛けや、SNSでの投稿と連動した展示物で会場内を飾っていくコーナーのほか、劇中と同じシーンのフォトスポットなどを設置。会場となる澁谷藝術の併設レストラン「RISTORO神南」とのコラボメニューの展開も予定している。
【とんだ林蘭のコメント】
「恐れ」というネガティブなテーマで作品を作ったことが無かったので、やってみたいと思いました。ニュートラルな印象に「恐れ」を落とし込めたらと思いました。映画「ボーはおそれている」を観ながら「恐れ」とは「安心や退屈」とものすごく近くにあり、表裏一体だと感じました。
【岸裕真のコメント】
ひとつの世界を外から眺める残酷さと可笑しさが、アリ・アスター作品の魅力だと思います。一本の映画世界をきっかけに、知覚できなかった外部の世界へ創造を手招きするこのアリ・アスター映画は、僕を含め多くのファンをブラックホールのように惹き付けてきました。今回、映画とは別のレイヤーで展開するひとつの物語装置と捉えて、この展覧会に参加します。人間とは別のアルゴリズムで思考するAIたちと、特異な華を添えられたらと思います。
今回、AIたちと共に聖母子像を描いた絵画作品を中心に、小規模な演劇的インスタレーションを展示します。宗教画の歴史において何度も描かれてきたモチーフである聖母子像を、私たち人間が築き上げてきた信仰を全く考慮しないAIプログラムたちによって異化・再解釈し、人間社会から自由な信仰と、親子の関係性から離れた母子愛のあり方について考えながら制作しています。